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2011年4月 8日 (金)

山行 塔ノ岳から鍋割山その1

 丹沢山地の最高峰は蛭ヶ岳(1,673m)であるが、湘南地区や麓の秦野市からはその姿を見ることは出来ない。なぜなら表丹沢の盟主である塔ノ岳(1,491m)が東西に尾根を広げて手前にそびえているからである。その存在感の大きさは、東に従える大山と共に古くから人々の信仰を集めてきた。現在では頂からの360度の展望と交通アクセスの良さで、ハイカーたちの間で最もメジャーな山のひとつに挙げられる。

 塔ノ岳の登山コースは、東側のヤビツ峠から二ノ塔、三ノ塔、行者ヶ岳、新大日を経て頂上に至る表尾根コースと、西側山麓の大倉地区から、バカ尾根と呼ばれる長い登り一辺倒の尾根を登りつめる大倉尾根コースが2大コースとして有名であるが、これら両腕の尾根から更にいくつもの尾根が分かれ、コースのバリエーションが豊富である。

 私がこの山に最初に登ったのは、かれこれ10年近く前の平成14年7月。そのときは菩提峠から表尾根をピストンしたが、真夏の表尾根の地獄のような暑さは今も記憶に刻まれている。標高の低い丹沢山地の登山時期が、一般的に真夏を除外されていることを後日知ることになるが後の祭りであった。

 4月2日(土)6時前に表丹沢県民の森駐車場に到着。身支度を整え、軽い朝食をとって6時に大秦野林道を歩き出す。私と前後して数人の人が山に向かって歩き出したが、車内で朝を待っていた人もいたようだ。他県ナンバーが見られるのも塔ノ岳の人気の高さがうかがえる。林道が四十八瀬川を渡ると西山林道に合流する。西山林道を進むと左手に神奈川県山岳訓練所の廃屋が見えてくると、間もなく塔ノ岳と鍋割山方面の分岐点である二俣に到達した。鍋割山へはここから勘七沢を渡り左に曲がる林道をそのまま進んでいくことになるが、私は大倉尾根を目指して右手の森林にはいることになる。

110402_055917 大秦野林道ゲート 110402_060950 県立山岳訓練所の廃屋

 入山カードを記入してポストに投函していると、後から来た男性が右手の勘七沢沿いに進んでいった。これ幸いとばかりにその後を追従することにしたが、それは誤りであった。前方から男性が引き返してきて、「この道は分かり辛いよ。」と言って二俣へ戻っていった。辺りを見回すと、沢向こうの岩に赤いペンキが塗られているのが見て取れたので、渡渉して沢沿いを進んでみたが、前方に巨大な堰堤が立ちはだかった。堰堤脇にロープが掛けられ先に進めるようだったが、どう見ても地図では沢沿いのルートではないので、おそらく沢登りのルートであろうと判断して引き返すことにした。戻ってみると二俣の道標の脇に植林の中に延びる登山道を発見した。道標と沢沿いの道に目を取られて、入口を見落としてしまったのである。

110402_061313 二俣勘七沢 110402_061503 登山ポストに投函

 気を取り直し、勘七沢を左手に見下ろしながら植林帯の緩やかな道を進む。沢の奥に延びる道は緩やかで、もう少し高度を上げてもよさそうなものであるが、と思いきや、小さな沢を渡渉すると状況が一変、沢脇の岩場を登りきると木の根が多い急登となった。息を切らせて登っていくと、右手から大倉尾根が近づいてきた。二俣から小1時間ほど登り、大倉尾根との出合、堀山の家がある小草平に出た。ここからは大倉尾根を登っていく。

110402_062842 緩やかな植林帯の道が・・・ 110402_071002 急登に

 大倉尾根は通称バカ尾根と呼ばれるように、登り一辺倒のルートであるが、余りにもメジャーなルートであるため登山道周辺の土砂崩壊が著しく、保護のため木の階段や崩壊留めがいたる所に設置され、さながら山城を歩いているようである。歩きづらい急な階段を40分ほど登っていくと、真新しい山小屋の前に出た。この山小屋は花立山荘で、左手に富士山、右手に三ノ塔や大山が奇麗に見えている。当に「山の朝」というロケーションだ。更に進むと花立のピーク。この辺りで標高は1,300mを越えているので、今まで鍋割山稜にじゃまをされていた富士山が全貌を現した。正面には今回の目標である塔ノ岳のピークが近い。

110402_072152 土砂流出箇所 110402_072340 階段のルート 110402_074827 山城かな?

110402_075523 花立山荘 110402_080346 花立のピーク

 花立から鍋割山稜が左手から出合う金冷シまで来ると、ブナ林と小笹の尾根道で、北向きの斜面には残雪が残っている。登山者が多いルートなので道はぬかっているが、この時間は凍っているので歩きやすかった。花立から30分で塔ノ岳の広い山頂に立つことが出来た。

110402_080421 花立から見る塔ノ岳110402_080636 金冷シ付近

110402_081451 泥濘の道 110402_080630 北向きの残雪

 塔ノ岳(1,491m)はその昔尊仏山と呼ばれ、大山と並ぶ山岳信仰の山であった。頂上にはその名の由来となっていた「お塔」と呼ばれた巨岩があったそうだが、関東大震災で北西の谷に崩落してしまったそうである。山頂は開けているが、土砂の崩壊が著しいようで、木や石で土留めが施工されていた。景色の良い山は山頂に木が生えていないので、土砂の流出は全国どこの山でも苦慮しているようである。更に私も含め、大勢の登山者がこれに追討ちをかけているのが現状である。

110402_082507 塔ノ岳山頂 110402_083513 尊仏山荘

 それはそうと、山頂からは360度の大パノラマで、北は丹沢山、不動ノ峰、蛭ヶ岳と丹沢の盟主が並んでいる。そこから西に目を向けると檜洞丸とその右に大群山(大室山)。その右奥には遠く雪を頂いた八ヶ岳や奥秩父の山々。檜洞丸の左手には、遠く南アルプスが並び、富士山が南アルプスを堂々と従えている。富士山から南に目をやると、愛鷹山地と箱根の山々。秦野市や湘南地域の町並みの向こうには相模湾。この日は山が奇麗に見えたものの、気温が暖かくなっていたからか、下界はやや霞んでいた。東には三ノ塔をはじめとする表尾根と大山。その背景には相模原、八王子など神奈川、東京の町並みが見えている。

110402_082602 北向き。右から不動ノ峰、蛭ヶ岳、大室山(奥)、檜洞丸

110402_082615 西には富士山 110402_081547 東向き。手前が表尾根三ノ塔。奥は大山

 朝が早いので人ではまばらであるが、気温が上がる予報であったから日中は多くの人で賑わうことであろう。ベンチに腰掛けて蛭ヶ岳や富士山をおかずに朝食のおにぎりを食べた。記念のピンバッチを買おうと山頂に建つ尊仏山荘に寄ってみた。朝のお客を送り出した後であろうか、フロント奥からのんびりとしたギターの音色がながれている。フロント裏を覗いてみると、いかにも山男風体の入道頭のおじさんがギターを奏でていた。山の光景の一面である。

 30分ほど山頂の朝を楽しみ、鍋割山を目指すことにした。(つづく)

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