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2011年5月18日 (水)

山行 西丹沢縦走作戦 その1大室山

 5月も下旬になろうとしている時期に、いつまでもGWの話題を出すのもいかがかと思われるが、これが最後になるのでご容赦いただきたい。

 子供らは一足早いGW明けを迎えた5月9日の早朝、車は丹沢湖から中川温泉を通り抜け、西丹沢自然教室に向かう。夜明け間もない山間の道路は未だ動物たちのテリトリーらしく、沿道にはサルが数頭うろついていた。西丹沢自然教室の駐車場に車を入れると、既に先客が3台ほどいて、教室前の中川川に架かるつり橋を渡って畦ヶ丸方面に入る人の姿もある。私はここから道路沿いに歩いて、犬越路経由で大室山(1588m)を目指して歩き出した。

110509_062320 西丹沢自然教室 110509_062713 正面に大室山

 この県道76号線は山北藤野線と呼ばれ、犬越路をトンネルで貫通して県北の藤野(相模原市)へ通じているが、犬越路を挟んだ林道区間は一般車両通行止めとなっている。道志、山中湖方面が近くなり、高原ドライブ好きにはたまらないコースではあるが、ここを通したら静かな西丹沢は失われてしまうだろう。この県道の両側には数百サイトは受け容れられそうな広大な敷地を誇るキャンプ場がある。大型連休明けでキャンパーの姿は皆無であるが、前日までは多くの人で賑わっていたことだろう。数十、数百組のキャンパーが出す生活雑排水や廃棄物を考えただけでも恐ろしいことである。首都圏から近い貴重な自然はレジャー産業には大きな魅力であるが、業者として自然保護の義務、責任は果たしてもらいたいものである。

110509_063605 道路沿いのキャンプ場 110509_064258 白石沢

 犬越トンネル方面の県道と分かれると林道は白石沢で行き止まりとなるが、その手前を右手に折れ、用木沢沿いに河原を歩いていく。この白石沢や用木沢は中川川の源流部であり、水質は最高である。中川川は丹沢湖を経て河内川となり、御殿場線沿いに流れてくる鮎沢川と合流して酒匂川となり足柄平野を潤し小田原で太平洋に注ぐ。この自然教室から犬越路に向かうルートは東海自然歩道の一部であるが、橋が流失して渡渉したり、沢側が大きく崩落している箇所もある。美しい自然は時として荒々しく人の進入を拒む一面を擁するのだ。もう10年以上前になるが、この沢と同じ酒匂川流域の丹沢湖に注ぐ玄倉川で、キャンパーが濁流に呑まれた痛ましい映像を記憶する人も多いだろう。

110509_064326 用木沢出合 110509_065322 用木沢風景 110509_065842

 さて、用木沢を何度か渡り返して河原を進むと、設置されたベンチで高年のハイカーが休憩をとっていた。挨拶を交わすとそれについて山の話がこぼれだす。聞けばこの方、御歳84でハイカー暦は半世紀を越すという。スイスやニュージーランドの登山暦もあるようでなかなかの山好きのようだ。氏のおっしゃるには、海外に比して日本の登山道は整備状況が悪いという。また、私同様に大室山を目指しているが、今回が最後になるだろうと言っていた。こういう頼もしい高年ハイカーは、そうは言ってもまだまだ登り続けることであろう。お互いの道中の安全を確認しあって、一足先に歩き出した。

 高年ハイカーと別れると、用木沢からも分かれて犬越路へまっすぐに延びる涸れ沢の急登になった。石がごろごろして足場が悪く歩きづらい。大きなニホンジカがこちらをうかがいながら沢を上がっていく。ガレ場から笹の生い茂る階段となり犬越路の十字路に出た。用木沢に入ってから1時間ほどかかった。正面を下ると神ノ川、津久井方面で、右手は檜洞丸への登山ルートである。左手すぐに犬越路避難小屋があり、その脇に大室山へのルートが延びているが、ここで小休止とした。

110509_074837_2 涸沢の急登 110509_074844 沢上部の笹道 110509_075034 犬越路

110509_075232 檜洞丸ツツジ新道を見る。 110509_075242 避難小屋と大室山への道

 犬越路という地名は、1569年に甲相駿三国同盟を破棄して、越後の上杉謙信と同盟を結んだ小田原の北条氏康を、甲斐の武田信玄が攻めたときに、その斥候部隊が軍用犬を先頭にこの峠を越えたことからついたといわれています。ちなみに丹沢湖奥の中川温泉は信玄の隠し湯といわれていますし、丹沢湖周辺は相模といえども武田の勢力下になっていた時期があったのかもしれません。

 犬越路から大室山へは標高差500mを一気に登り詰める。一部鎖場を含めた急坂をジグザグと登っていく。この尾根はヤマツツジの木が多いことに気がついた。つぼみも多いようで、半月後の花期が楽しみな場所である。西側には富士山が西丹沢らしく大きく見えていた。西丹沢らしい大きな富士の姿に喜んでいるのも束の間、東富士演習場の砲声が轟き始めた。時刻は8時30分、お役所仕事である。

110509_081738 白い恋人 110509_085907 バイケイソウ群落 110509_090321 大きな富士

 標高が上がってくるとバイケイソウの群落となった。この数日前に丹沢山で見たが、はるかにこちらの群落の規模が大きい。西丹沢主脈尾根に出て右手に5分ほど歩くと大室山の山頂(1588m)に着いた。甲相国境線であるため、山梨百名山の標柱が立ち、それを中心に広い山頂である。樹木に覆われていて展望は利かなかったが、南には蛭ヶ岳や檜洞丸、北には道志村の集落が見えていた。

110509_091442 大室山山頂 110509_091523 ちょっと蛭ヶ岳 110509_091050 何となく道志

 大室山は西丹沢の盟主であり、その重厚感あふれる姿は道志渓谷はおろか、八王子市街や奥多摩の山々にも存在感を示している。八王子辺りではこの大室山を「富士隠し山」と呼ぶほどに大きい山なのである。大群山と表記される場合もある。

 さて、ここからは主脈尾根を西に向かって行きます。(つづく)

☆メンツ:単独

★コースタイム:大室山まで2時間50分(休憩等20分含む)

西丹沢自然教室6:25→6:45用木沢出合→7:50犬越路8:00→9:15大室山

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