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2011年6月 2日 (木)

道草映画鑑賞

 会社帰りにこっそり映画を観て帰ることがあります。観るものといえば、戦争映画がほとんどなんですが。前回は「太平洋の奇跡」で、今回は「レッド・バロン」です。「レッド・バロン」とタイトルだけ聞いて戦争ものだと分かる人は一般的にはなかなか通ですが、ミリタリー系の歴史好きには余りにも有名な人物の敬称であります。

 主人公レッド・バロンことマンフレート=フォン=リヒトホーフェンは第1次世界大戦の戦闘機乗りで、航空機の戦争での運用が確立されようとしていた草創期に、敵機撃墜数が80機という前人未到の記録を立てた人物で、愛機である真っ赤に塗装されたフォッカーDrⅠ戦闘機と家柄が貴族出身だったので、敵である英仏軍から畏敬の念を込めて「レッド・バロン(赤い男爵)」と呼ばれた人物です。

 第1次世界大戦の空中戦映画は、「ブルーマックス」、「スカイエース」などの作品を観てきましたが、田園風景をバックに複葉機が宙返りや旋回をするのんびりとした戦闘シーンが印象的でした。「レッド・バロン」というタイトルもかなり昔に製作されたものがありましたが、今回は全く新しい作品ということで、CGを利用したリアルな空中戦シーンが楽しみです。

 先にあらすじを述べておきますと、名門出の若きリヒトホーフェンは、空中戦で敵を撃ち落すことをスポーツ競技のように考えて、エースの名声を得るために貪欲に戦果を挙げていきます。やがて航空隊の指揮官に出世して国民的英雄となりますが、従軍看護婦との恋愛や戦友たちの死を経て、戦争の現実に目覚めていく姿が描かれています。

 期待していた空中戦のシーンですが、リヒトホーフェンの愛機であるアルバトロスやフォッカー、英軍のSE.5やハンドレイページ重爆撃機、仏軍のスパッドが登場し、CG製作ならではのここまで機敏に動けるのか?と思えるアクションや、派手に壊せる戦闘シーンは娯楽性も高く楽しめました。また背景が今までの映画と違って、田園風景がバックののどかな空中戦と違った西部戦線特有の砲撃によるクレーターなど、時代考証にこだわりも見られましたね。

697b フォッカーDr.Ⅰ 688b アルバトロスDⅢ

 木製あるいは羽布張りの複葉戦闘機が、敵の後方に回り込んで射撃位置を取るためにぐるぐる旋回して軽機関銃で敵を撃ち落すドックファイトの光景は、レーダーで見えない敵を捉え、目視する前に撃墜してしまう現代航空戦とは明らかに次元の違う、戦闘機という兵器同士の戦いながらパイロット自らの操縦技術が勝敗を左右する古き良き?戦争の姿であります。

 第1次大戦は近代戦争の幕開けとして、航空機、戦車、潜水艦、毒ガスなど近代兵器のデビューとなった戦争であり、国家間の総力戦争でした。しかし、その中でも中世騎士道の名残のような場面が残されていて、劇中でも機銃が故障して戦闘能力を失った敵を攻撃しなかったり、撃墜した敵機の一部を回収してコレクションにしたり、戦死した敵の名高いパイロットの葬儀に空中から花束を投下して手向けるなど、戦争のルールや戦士同士のしきたりが描かれていました。これは空の戦いに限らず海や地上でも見られた光景でしたが、人を殺す兵士でありながら人間が持つ最低限の節度が生きたのは、敵が人間として目視できた時代ならではのだったのでしょうね。

 最後にもう少し深い視点をひとつ。映画中にも従兄弟が少しだけ登場していましたが、このウォルフラム・フォン・リヒトホーフェンは、第1次大戦ドイツ敗戦後、ナチス政権下のドイツ空軍発展に貢献し、第2次大戦時に空軍元帥にまで昇進した人物ですが、1936年のスペイン内乱ではフランコ将軍を支援するコンドル義勇航空団の指揮官の一人として、あの悪名高い無差別爆撃であるゲルニカ爆撃を指揮した経歴の持ち主でもあります。

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コメント

>レッドバロン
バイク屋さん?(@_@)

あーそういうバイク屋もあったねー。
まあ由来はリヒトホーフェンのことですよ。教養になったでしょ。

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