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2012年1月21日 (土)

山行 愛鷹の深部に美林あり 位牌岳

 愛鷹連峰は富士山の南麓と駿河湾との間に位置した小さな山塊で、北から越前岳、黒岳、呼子岳、鋸岳、位牌岳、前岳、大岳、袴腰岳、愛鷹山の9峰が並んでいる。最高峰は越前岳の1504mで、何れもが1200~1500mほどの低山であるが、富士山と海の影響を受けて1年を通じて降雨量が多く、ブナ林やアシタカツツジなど豊かな植生が育まれてきた。動物もツキノワグマをはじめ、シカ、イノシシ、カモシカ等の大型哺乳類からハコネサンショウウオなど水棲小動物まで多種の生命に満ち溢れている。

 愛鷹連峰の中で、最高峰が北端の越前岳であるが、富士山と真正面に対する展望の良さ、交通アクセスの良さ、頂上への身近なルートと好条件が重なって、登山者の大半が越前岳に集中する。また一昔前、この小さな山塊は手軽に縦走を楽しめる山であったのだが、呼子岳と位牌岳の中間に位置する鋸岳付近が集中豪雨により崩落著しく、縦走路を南北に分断してしまった。それによって、南部に位置する位牌岳、袴腰岳、愛鷹山は公共交通機関の不便さも相まって、ややマイナー感を持たれるようになってしまったことだろう。

P1020318 森林公園の遊歩道をショートカット P1020317 何だいそりゃ!

 1月7日(土)朝、東名高速沼津ICから山の手に15分ほど車を走らせた、ゴルフ場の上部にある長泉町森林公園の駐車場にやってきた。この公園は愛鷹連峰の中央に位置する位牌岳への登山口となっている。既に2台の車が駐車していた。7時45分に駐車場を出発し、森林公園の遊歩道を歩き始めた。檜林を真っ直ぐ登っていくと公園の展望台に出た。ここから振り向くと沼津湾や伊豆の山々が良く見える。霜がびっしり張ったベンチには指で相合傘が書かれていた。韓流ドラマかいな!?

P1020319 森林公園展望台 P1020321 池の平に向かう尾根道

 展望台から先は尾根上に延びた明るい道で、正面に愛鷹の山々、背後に箱根や伊豆の山々が良く見えている。左手前方に形の良い愛鷹山のピークが見えているが、東から雲が流れていて時折その姿を隠してしまう。霜を踏みしめながら歩いていくと間もなく池ノ平(846m)に到着。愛鷹連峰をバックに望む沼津湾や伊豆の山々は最高に気持ちが良い。家族連れなら、ここを目指してお弁当を広げるのも良いだろう。

P1020324 愛鷹山 P1020323 池ノ平まではファミリー向き P1020326 この日は少しガスが・・・

 池ノ平で暫し展望を楽しんだ後、笹竹の密生する登山道を進むと先行する若いカップリングハイカーに追いつく。位牌岳への最短ルートを尋ねられたが、こちらも初めての山でガイドの受け売り程度と謝し先行した。お互い楽しい山行をしましょう。多雨の時季にだけ出現するという幻の滝「つるべ落としの滝」方面への道を分けて、右手の急峻な尾根道が位牌岳への最短ルートである。笹竹の尾根道はやがて岩の露出した尾根になったり、ツツジの群生する箇所を通過したり、大きなモミの木がそびえていたりと変化に富んだ尾根道である。右手は終始大きくガレていて、富士の裾野、三国山稜、丹沢、箱根外輪山など山々の展望が素晴らしい。

P1020339 位牌岳に向かう尾根道 P1020338 P1020331 ガレの向こうに三国山稜と丹沢

 急峻な尾根道を1時間ほど進んだであろうか、ブナ林の広がる広々とした場所に到達した。驚いたことにこの開けた気持ちの良さは、おびただしいブナの倒木によって得られるものであった。環境破壊?ちょっと違うようだ。この尾根の上部には見事なブナ林帯が広がっているのだ。恐らく風の通り道になっているのであろう。愛鷹連峰は駿河湾に面しているので、低気圧や台風の通過時には海風の直撃を受け、部分的に突風が吹きぬける場所があるのであろう。それにしても、大木ばかりの倒木が広がる光景はなかなかお目にかかれるものではない。生命を絶たれた倒木ではあるが、そこに広がる光景は「墓場」というイメージではない。鹿の群れが闊歩し、また、倒木は多くの菌類・コケなどを育んで森林の豊かさを垣間見ることができた。

P1020344 ブナ倒木帯 P1020348 P1020345 富士山も覗く

 ブナ林の上部はいよいよ位牌岳の山頂に至るピークである。稜線に至ると幸いにして雲は晴れて、樹木には霧氷が付いて白く飾られていた。木々に付着した霧氷は、風に乗って飛散し青空にきらめく幻想的な光景となった。稜線の西側には須津川渓谷の谷間が切れ落ちていて、その先には富士市街が広がっていた。富士川の対岸には南アルプスの峰々が並び、その北側には遠く八ヶ岳も覗いていた。

P1020350 稜線近くのブナ林 P1020356 位牌岳 P1020355 霧氷が空に映える。

 位牌岳(1,458m)は越前岳に次いでこの山塊の次峰で、中央部に位置している。富士山の展望が素晴らしい越前岳に比して、その山頂は樹木に囲まれた地味な印象であるが、少し北側斜面に入ると越前岳から東に延びた尾根の向こうに雲に隠れながらも富士山が大きく見えていた。山頂の看板には、北の鋸岳方面は崩壊により危険なため立入を自粛するよう呼びかけられていた。

P1020360 位牌岳山頂 P1020362 P1020363 北側の展望

 山頂から少し戻った日当りの良い場所で一休み。登ってきたルートを戻るのが最短ではあるが、もう少しこの山を楽しみたい。かと言って、南にある袴腰岳、愛鷹山まで縦走しては時間が足らない。この日の午後は、平塚市内のお寺で天然児向けのミニコンサートがあるのだ。しばらく地図とにらめっこして考えると、南への縦走路上の「一服峠」という地点に注目した。ここからは登ってきたルートと平行して東に尾根が張り出している。

P1020359 南に延びる尾根 P1020368

 縦走路を南下すると、ラジオを響かせて登ってくる中年男性3人組とすれ違った。自分と向き合う孤独を楽しむ山行ではあるが、人との出会いはホッとするひと時である。所々、振り返ると位牌岳、呼子岳、越前岳が見えたが、鋸岳独特の鋸歯は背景の越前岳に溶け込んでイマイチ判別が難しい。そうこうしているうちに一服峠に難なく到着。

P1020367 右が位牌、中央が越前、左の小突起が呼子、目を凝らすとその間に鋸歯が。

P1020371 一服峠 P1020380 ブナ林 P1020379 立ち枯れブナ

 一服峠で一服もせず、東側の尾根道を下る。こちらの尾根にもブナの大木が広がっているが、ブナの根元には常緑のアセビが茂る尾根なので多少賑やかである。この尾根でも倒木が目立った。踏み跡がやや判然としない尾根を歩き高度を下げていくと、左側が大きく崩落した尾根の上部に出た。正面に登ってきた池ノ平からの尾根、その向こうに箱根の山々が展望できた。土砂が流出している尾根には動物の足跡が縦横無尽に走っていた。展望の良いこの尾根で、動物たちは夜な夜なお月見でもしているのであろうか・・・しばらくすると愛鷹林道に飛び出した。林道を歩いて森林公園に戻ってた。この分なら午後のイベントには間に合いそうだ。

P1020385 池ノ平を遠望 P1020388 動物たちの足跡

☆メンツ:単独

★コースタイム:3時間45分(休憩含む)

長泉町森林公園7:45→8:10池ノ平→9:15ブナ平→9:45位牌岳→9:55縦走路分岐10:00

→10:10一服峠10:15→11:05愛鷹林道出合→11:10水神社分岐→11:30長泉町森林公園

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