美林を走る鉄道遺産 木曽に遊ぶその2
木曽上松町の街道筋から車で30分ほどの赤沢地区、標高1千mの山奥に樹齢三百年といわれる木曽檜の森があります。その昔、尾張徳川家により「1本首ひとつ」という言葉に例えられるほどの厳しい管理により保護された木曽檜は、現在では国有林となり、青森のヒバ、秋田杉と並んで日本三大美林のひとつに数えられています。
この赤沢自然休養林は、森林浴発祥の地として数多くの遊歩道が整備され、川のせせらぎを見ながら、あるいは野鳥の声を聞きながら、うっそうとした巨木に奥山を感じながら、そして花や紅葉で季節を感じながらと、実にバリエーションに富んだコース設定となっています。
自然林の中央には木曽川に注ぐ道川が流れていて、その沢筋には赤沢森林鉄道の軌道が保存されています。江戸から明治時代、この地域で伐採された木材は、木曽川に流されて尾張名古屋に至っていましたが、大正期になると、木曽川に水力発電施設が建設されるようになったため、その手段は難しくなりました。代わりに木曽地方に開通した中央線まで木材を運搬する森林鉄道が建設されました。
木曽地方の山林に多くの森林鉄道が建設されましたが、トラック輸送に地位を譲り、昭和50年には全廃となってしまいました。その後の保存活動によって、この赤沢自然休養林に保存が決定し、昭和60年の伊勢神宮遷宮行事、御杣祭の御用材切り出しを皮切りに、昭和62年には観光鉄道として復活運行を果たしました。
さて、三連休の森林鉄道は数多くの観光客で賑わっていて、可愛らしいディーゼル機関車に牽引された5両ほどの客車は満員状態です。森林鉄道記念館から丸山渡停車場まで、右手に道川のせせらぎを見ながら、の~んびりと進んでいきます。機関車が通過すると、川沿いの遊歩道を歩いたり、岩床の河原で遊ぶ人たちが思わず振り返って手を振るどこか懐かしい鉄道沿線の光景です。
終点の丸山渡停車場に到着すると、機関車の前後交換を行って森林鉄道に戻ります。運賃は片道でも往復でも同じなのですが、ほとんどの人は復路を思い思いのコースで歩いて戻ります。我々もせせらぎと鉄道が楽しめる「ふれあいの道」を歩いて戻ります。
乗って楽し、見て楽し。全国的にも珍しい森林鉄道をぜひ訪れみてください。
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