山行 山上庭園を悠々と 鳳凰三山縦走その2
鳳凰小屋を発ってカンバの樹林の中やや急な道を登っていく。樹林越しに下のほうから談笑する声が聞こえてくる。鳳凰小屋の従業員が慌しい3連休の業を終えた和やかな団欒の声だ。樹林から出るとザレた歩き辛い急登になった。白砂ではあるが砂礫に足を取られて富士山を歩くようである。直射日光が眩しく休み休み登っていると、岩場の周囲には高山植物が結構咲いていて心和ませてくれた。斜面の行く手には地蔵岳山頂の花崗岩が見下ろしている。
小屋から小1時間ほどで地蔵岳(2764m)と赤抜沢ノ頭(2750m)の鞍部である広々とした賽の河原に到着した。地名のとおり小さなお地蔵さんが並んでいた。観音岳方面からポツポツハイカーが渡ってきては、オベリスクに登ったり休憩をとった後、鳳凰小屋方面に下っていく。登ってきた真正面は開けて北西方面の展望が素晴らしい。雲に煙る甲斐駒ヶ岳が堂々と対座し、鳳凰三山から延びている高嶺、アサヨ峰など早川尾根が延びている。駒ヶ岳の左手後方には北沢峠を挟んで南アルプスの女王といわれる優美な仙丈ヶ岳が見えた。
さて、ここで気がかりがひとつ。地蔵岳の山頂はオベリスクの頭頂部にあるのだろう。先ほどから攀じ登る人を何人も見上げてきたが、この山笑は大の高所恐怖症である。オベリスクの上に立つには10m以上はある垂直岩を攀じ登らねばならないのである。しばらく基部でモジモジしながら降りてきた人を捕まえては感想を聞く。結果、ここまでの直登で疲労も大きく足を滑らせてはたまらんと理由をつけて、オベリスク登頂はあきらめ観音岳方面に転進した。
ハイマツのトンネルを少し登るとすぐに赤抜沢ノ頭に出た。賽の河原からはこのピークが遮って見えなかった南西側には、野呂川の大渓谷を挟んで並ぶ白峰三山の大展望が飛び込んできた。同じ三山でも向こうは三千m超の北岳、間ノ岳、農鳥岳と日本アルプス屈指の大稜線である。その中でも富士山に次ぐ本邦第二の高峰北岳がちょうど真正面に向き合っている。大樺沢の雪渓がくっきり残っていた。
赤抜沢ノ頭から鞍部を経て観音岳へ向かう。花崗岩の岩とハイマツ、シャクナゲなどの低木のコントラスト、そして雄大な南アルプスを借景に素晴らしい山上庭園の風景が続く。低木の生際や岩の間には、コケモモやイワカガミなどの高山植物が生えていて楽しみは尽きない。小1時間ほどの庭園散策のような楽しい稜線歩きで、鳳凰三山の最高所である観音岳の山頂に到達した。ここでお昼としよう。(つづく)
★コースタイム:2時間15分(鳳凰小屋~観音岳)
鳳凰小屋9:20→10:05賽の河原(地蔵岳)10:25→11:10鞍部→11:35観音岳
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