山行 怒りのセラピーロード 大山三峰山その1
大山山頂東側の展望地から、北東方向に広がる相模平野を望んだとき、大山から北に延びる稜線に三つ並んだピークを見下ろすことができる。この山は三峰山と呼ばれ、同じく大山西北に位置して、丹沢山から宮ヶ瀬に落ちる尾根上に並ぶ丹沢三峰山と区別するため、大山三峰山と呼ばれる。伊勢原や厚木など下界から見上げると、ドッシリと座した大山の右手後方に丹沢らしからぬ荒々しい鋭角を見せている。標高は最高地点の南峰の935mと、1000mにも満たない低山ではあるが、山頂付近は両側が切れ落ちたナイフリッジで、階段と鎖場が連続する侮れない山である。東北震災の直後に、蓑毛から大山、三峰山を経て煤ヶ谷まで縦走した思い出がある。(参照:http://yama-umi.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-c944.html)
6月30日(日)、朝起きると、曇ってはいたものの晴間が覗いていたので、雨の心配はなさそうである。梅雨の合間の低山ハイクを楽しむこととした。七沢温泉郷の広沢寺温泉にある登山者用の駐車場を5時30分に出発。今回は軽装で充分であるが、この時季の東丹沢はヤマビルの巣窟なので、対策は万全に臨みたい。
駐車場から不動尻に延びる二の足林道は、林間と沢沿いを行く爽やかなコースで、五感で心地よさを感じリラックスしながら運動を楽しめるセラピーロードに指定されている。が、コース序盤に近年建設された堰堤周辺は、道路が付け替えられて、元々この付近にあった味わい深い石切場跡や水量豊富な清水は巨大なコンクリートの塊に埋没してしまった。セラピーロードとは笑止千万!樹林を伐採し、旧跡を破壊して、照り返しのきついコンクリート道路と建造物を設置した行政の配慮のなさ、無計画振りに強い憤りを感じずにはいられない。
車止めのゲート前に湧出する清水で脂ギッシュな顔を洗い、空のボトルに水を補給して先に進む。ゲートを通過すると、すぐに山神隧道が口を開けている。下界と丹沢山中の境界に位置するこのトンネルは、無灯火でもあり、暗闇を出口の明かりを目標に一心に歩き続ける。余計なことを考えると良からぬことが起こりそうなので・・・涼しげな風が吹きぬけ、ヒタヒタと足音が反響して、何度通過しても気持ちが悪い。(参照:http://yama-umi.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-d239.html)
トンネルを通過し、遥か谷底を流れる谷太郎川のせせらぎを聞きながら、緑眩しい林道をしばらく進むと、川面が近づいて、渓流と苔むした河原が涼しげな不動尻に到達した。?沢の音に混じってチリーン、チリーンとかすかに鈴の音が聞こえてくる。トンネルからついてこられたのだろうか。と、不安になるも、早朝から糸を垂れる渓流釣り師が時折熊避けの鈴を鳴らしているのだった。
舗装路の林道は不動尻までで、キャンプ場の跡地から先は登山道となる。すぐに二又に分岐となって、左手に唐沢峠を経由して大山方面に向かう尾根道。三峰山へは右手の沢沿いを歩くことになる。羨道や鎖を頼り遡上していくと、沢幅が狭まって、源頭部が近づくタイミングで沢沿いから垂直の鎖場を攀じ登って一気に尾根に上がる。なかなか侮れないルートである。
さて、沢沿いを歩いていると、案の定、ヤツがやって来た。
小さな吸血鬼ヤマビルである。個人的には今年初の遭遇であるが、いやぁ、この沢にはとんでもなく多い。気づいたときには5、6匹が登山靴に取り付いている。右足を引き剥がしていると左足、左足を掃討していると右足・・・らちが明かない。周囲を良く見ると、自分の体温か呼吸を感じて次々と這い寄ってくる。これはたまらんぞー!三十六計逃げるにしかず。(つづく)
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