山行 台風一過の林道歩き ユーシン渓谷
今年の10月は次々とやってくる台風の進路を気にする日々でした。幸いにして今月最後となる台風27号は、沖を通過したので影響はほとんどありませんでした。翌10月27日(日)は台風一過の快晴の秋空となりました。歩くには良い季節ですし、久しぶりに天然児と歩いてみることにしました。
丹沢湖東端の玄倉から玄倉林道に乗り入れます。雨上がりの林道は水溜りや路肩から水が出ていたので、通行止のゲートまで行くと軍馬は泥んこになってしまいました。ゲート脇に駐車すると、天然児はお決まりでギャーギャー暴れていましたが、無視して支度をしているとニヤニヤして下りてきました。これ幸いと手を引いてゲートを通過します。
ゲートからしばらく行くと、路肩に積もった土砂をパワーショベルで除去しています。この林道は周辺の地質がもろい閃緑岩のため、いたる所で土砂が流入したり崩落しています。付近も沢から大量の土砂が流入したようで、法面整備や洞門工事が進められています。ダンプが往来してこねくりまわされた路面はドロドロで、靴を汚した天然児は不機嫌になっていました。
玄倉林道は隧道が多い林道で、長さは短いものが多いのですが、唯一青崩隧道だけはトンネルが大きく曲がっているため光が届かず、しばらく行くと漆黒の闇に閉ざされます。人は闇に恐怖するもの。天然児もババも恐れおののいて、ヘッデンを持つ私のザックの紐にババが捕まって、ババが天然児の手を引いて進みました。天然児が恐怖と疲労で雄叫びをあげていたので、トンネルの中を対向してきた単独行の方は、ちょっと不安そうな面持ちでした。決してあの世の者ではござんせん。
玄倉川に沿って林道は丹沢の奥地に延びています。玄倉川は丹沢の山々から雨水を集める川なので、水量多くゴウゴウと音を立てて流れています。隧道先の玄倉ダムは、いつもは青々としたきれいな水をたたえているのですが、推量が多くて水門全開で放流していました。林道も水溜りが多くて、側壁や沢から水が流れ込んで川のようになっている箇所もありました。
少しは紅葉しているだろうと期待してきたものの、玄倉川流域の山肌は緑が深く、紅葉まではまだひと月先のようです。山陰の路肩には、青く可愛らしい釣鐘風のイワシャジンの花が多く、日当りの良い場所はリンドウや白い野菊リュウノウギクが咲き乱れていました。紅葉の代わりに秋の花々を楽しむことができました。
谷底深くを流れていた玄倉川の流れが随分近くなってくると、広々とした明るい場所になって、林相はヒノキやモミの植林が交じります。この辺りは明治、大正より林業が営まれた場所。ユーシンとは、この一帯に入植した人々が、水が湧き谷深いところを称して「涌深」と名付けたことが語源となっています。
熊木沢方面に直進する林道ゲートから分かれて玄倉川を渡ると、鬱蒼とした静かな植林の中にたたずむユーシンロッジに至ります。県営のロッジは青崩隧道の工事以来、長期の休業が続いていますが、避難小屋として一部開放されています。営業再開の目途はたっていないようですが、ここまで休業が長引くのは、県が経営が厳しいロッジの運営を継続する意思がないと思われます。利用者を増やすためには、玄倉林道の整備を進めて、以前のように一般の車両に開放することなのでしょうけど、それではこの静かな環境は保てないでしょうし・・・
ユーシンロッジまで約7kmの林道を2時間半ほどかけて歩いてきました。復路も同じ時間をかけて3時過ぎにゲートに戻りました。天然児にとっては久しぶりの歩行で、それが往復14kmの行程でしたから、最後の方は疲れて座り込む場面もありました。しかし、よく歩いてくれましたよ。お疲れ様。
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