山行 植林帯を黙々と 西丹沢低山縦走その2
楽しかった思い出に後ろ髪を引かれつつ、明るい高松山を後にします。先ほどの三叉路を直進すると、単独行のトレイルランナーが対面してきました。聞けば山北の人遠(ひとどお)方面から花じょろ道を走ってきたとか。この先、高松山~尺里峠~虫沢~花じょろ道のコースを走るそうです。このトレランナーを見送ってから、大野山山頂近くに至るまで人に会わない静かな山行となります。
ルートは北に折れて秦野峠方面に向かいます。間もなく寄(やどろき)、虫沢から人遠、八丁方面に通ずる花じょろ道との交差点、ヒネゴ沢乗越を通過します。花じょろ道(花女郎道)とは、その昔、花嫁さんがこの道を通って嫁いでいったことに由来するとか。何とも趣のある由来です。松田町と山北町にまたがる低山の登山道となっている道は、古くからの生活古道で、花じょろ道を始め「虫沢古道を守る会」の方々が整備をしているそうです。
ヒネゴ沢乗越からはかなり傾斜のきつい尾根道を登っていきます。間もなく平坦なピークとなり、西ヶ尾(805m)の表示がありました。ここから下って、また登り返すと送電線の鉄塔が立っています。送電線は山の景観を壊しますが、今いる位置を把握するときに助かります。この鉄塔は新秦野線29号鉄塔と記されていました。
高松山から北に延びるこの尾根はひたすら杉の植林帯で、展望もなくイマイチ面白味に欠けます。木々の間を透して富士山や丹沢の峰々が見えているので、所々伐採してもらえれば、素晴らしいハイキングコースに大化けすると思うのですが、この辺りの低山は、個人や森林組合の所有林になっているので、遊びで歩く我々の言い分は通じないでしょうね。
そのうちルートがやや右に折れて、右手の木々の間に丸いピークが見えました。この尾根上で最高峰のダルマ山こと、ダルマ沢ノ頭です。その先にシダンゴ山があって、更に寄集落に至ります。やがてシダンゴ山方面と秦野峠方面の分岐点となり、左手の秦野峠方面に下っていきます。すぐに林道に出合い秦野峠に到達しました。ここで2回目の休憩としましょう。お茶とカップ麺をいただきます。秦野峠は松田町寄から丹沢湖畔の山北町玄倉を結ぶ延長15kmほどの林道で、秦野峠は寄から6km地点に位置している町境です。
休憩の後、9km地点まで3kmの林道歩きです。本当は秦野峠から檜岳山稜を少し登って、秦野峠(林道の秦野峠とは別)経由で西に転じて、丹沢湖方面へ向かう予定でしたが、時間を短縮しようと陽当りの良い林道歩きとしました。
林道から日影山
ブッツェ峠からの展望(右奥が檜洞丸)
南斜面の林道はポカポカ陽気で気持ちが良いものです。所々富士山や箱根の山が見えています。三角錐の日影山が近くなると登山道と交差します。ブッツェ峠と呼ばれるこの地点から林道は更に玄倉方面へ下っていきます。
峠から左手、西に延びる登山道は道標もないマイナーなルートです。踏み跡も今ひとつなのですが、日影山は目の前に見えているので、とにかく岩が露出した尾根を直登していきます。木につかまりながら急登を20分ほど登っていくと、小広い日影山(876m)の山頂に到達しました。日影山はブッツェ平とも呼ばれています。その昔「武士平」と呼ばれていたのが変化して「ブッツェ平」になったそうですが、武士とはどんな関係があるのでしょうか?西丹沢だから信玄かな?樹林に覆われているので展望はありませんが、山深い雰囲気があります。
以前、私の知人は、シダンゴ山から秦野峠林道経由で日影山の尾根に踏み入れましたが、森林管理道を登山道と勘違いして迷い込み、沢に落ち込んで危うく遭難しかけました。そのとき仕事中だった私にHELPの電話が入ったので、早退して駆けつけようとしましたが、その後、奇跡的に造林業者の方に出合い、助けられて玄倉に下山したそうです。しばらくブヨとヤマビルの猛攻を受けた痕跡が生々しかったですね。「山で迷ったら下らず上れ」の鉄則です。(つづく)
★コースタイム:
東山北駅7:35→7:50高松山登山口→8:10農道終点→8:50ビリ堂→9:10高松山9:20→9:35花じょろ道交差点
→10:40秦野峠10:50→11:25ブッツェ峠→11:45日影山(ブッツェ平)
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