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2015年5月 5日 (火)

山行 山笑を魔空空間に引きずりこめ 丹沢・鉄砲沢

 さて、鍋割峠からどちらに進もう?鍋割山に登って水源の森に戻るのはちょっと面白くない。当初の計画通り雨山峠経由でユーシン方面に向かうか・・・おやおや?北に微かな踏み跡があるではないか。地図には記されていないので、マイナールートのようだが、方向からすると、この踏み跡はオガラ沢に下って尊仏土ノ平方面に向かうだろうと思い、踏み込んでみることにした。

Dsc01201 沢のミツバツツジ Dsc01204 沢下り開始

 木につかまりながら沢の源頭部のガレ場に降りると、周囲はミツバツツジがよく咲いていて、行く手の沢も花に囲まれた回廊のようで嬉しくなってきた。花好きオジサンはルンルンで沢下りを開始した。このとき、「道に迷ったら沢に下ってはいけない」という山の鉄則もすっかり頭から飛んでしまっていた。

Dsc01206 花の回廊 Dsc01224 ツルシロカネソウ

 沢は広くなったり狭まったりと変化があって、狭隘部には必ず滝になっていた。この滝がなめた岩の上を流れる美しい滝で、周囲の苔むした岩壁とマッチして実に趣があるではないか。以前、真夏にオガラ沢から鍋割山に登ったとき、山ヒルが沢山いたことを思い出して、足元をチェックしたが、ヒルはまだいないようだ。

Dsc01230 小さな滝が多い 

 最初はご機嫌な沢下りも小さな滝をいくつか下っていくうちにモヤモヤ感が募ってきた。オガラ沢はそんなに深い沢ではなかろう。そろそろ広くなって鍋割山方面へのルートと出合うはずなのだが・・・それもその筈。下っている沢はオガラ沢ではなく、西隣に位置する鉄砲沢という沢だったのだ。それに気づくのは命からがら帰宅してからのことだった。

Dsc01234 沢は深まるばかり・・・

 そのうち滝のギャップが大きくなってきて、滝を通貨するときに側壁を越えるようになってきた。早い段階で引き返すべきだったのだが、オガラ沢と疑わない私は、そろそろ見覚えのある鍋割登山口に出合うだろうとひとつ、またひとつ、滝を越えて縦深陣に引きずり込まれていった。

Dsc01238 ここから先は降りられない(汗)

 ある滝を越えたときに急斜面を滑り落ちてしまった。その次の滝は大きく、側壁は岩壁のゴルジュ(V字渓谷)になっていた。進むも滝、引くも滝。完全に魔空空間に引きずり込まれていたのである。この山中の袋小路からどう脱出するか?

 考えるよりも行動あるのみ!右手の涸れ沢をよじ登り始めたが、頼れる樹木もなく、あてに掴んだ石は西丹沢特有の御影石で、ボロボロと剥がれ落ちてしまうのだ。そうこう苦戦しているうちに足を置いていた石にも見放されて、ボロッ、ギャァ~~~~~~!沢に滑り落ちてしまった。幸いにして落ちた場所は積もった土砂と落ち葉で怪我をすることはなかったが、手のひらに裂傷ができて血が滴った。

Dsc01241 ここだ!ここを登るぞ!

 万事休す。闘病中のババをさしおいて、天然児を残して、この谷間に骸を晒すのか・・・と、10秒くらい思ったが、冗談じゃないよ。と闘志をみなぎらせて、今度は左手後方の涸れ沢をよじ登った。これまた頼りない急登ではあったが、何とか樹木の生えるヤセ尾根に取りつくことができた。掴んだ幹や根は細くて、折れたら真っ逆さまに谷に落ちるだろうが、藁をも掴む思いで命をかけた細木は実に頼もしく見えた。

 這い上がった白い尾根はアセビの木で覆われていたが、木々の間から大石山と同角ノ頭が見えていた。と、いうことは、山を正面に見て尾根上を下っていけば、ユーシン近くの玄倉林道に下ることができるだろう。こういうときに日頃楽しんでいた山座同定が役立った。嬉しくてたまらない。

Dsc01245 玄倉林道に到達

 やがて植林帯の急登を木々を頼りに下っていくと、下の方に砂利道が見えてきた。玄倉林道だ!歩く人の姿も見える。この日初めて見る人の姿に声を上げそうになった。ユーシンロッジ近くの玄倉林道に降り立って、ホッと一息。この後、雨山橋まで林道を歩いて、雨山峠を越えて寄に帰ることになった。

 「恥ずかしながら帰ってまいりました。」夕方帰宅し、タイムオーバーを散々かみになじられたが、死線を越えた(笑)我が身にはこれが何とも心地よく聞こえた。

Photo_2 鍋割峠からユーシン方面の図

★コースタイム:7時間20分

寄大橋6:30→7:50コシバ沢出合→コシバ沢→8:35鍋割峠(休憩)8:55→鉄砲沢→11:20玄倉林道→11:40雨山橋

→12:20雨山峠→(お昼休憩15分)→13:50寄大橋

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「命を大切にしよう! 一日一善!」
♪トジマリヨウジン、ヒノヨウジン…

別に命を粗末にしているつもりはありませんが、人間生に執着すると思わぬパワーを発揮するものです。
元気があれば何でもできる!

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