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2015年9月 7日 (月)

山行 常念猿軍団とクマクマ山 蝶ヶ岳、常念岳縦走その4

 常念岳とはなかなか良い響きの山名だと私は思う。その山名は常念坊という坊さんに由来しているが、その坊さんは人間ではなさそうだ。その昔、有明山に住む八面大王が坂上田村麻呂に討伐されたとき、大王の家来がこの山に逃げ込んだ。それから幾歳月が経ったであろう。山麓の酒屋にボロボロの法衣をまとった髭ぼうぼうの坊さんが酒を買いに来るようになった。五合徳利に五升の酒を注げというので、主人が言われたままにすると、不思議と五升の酒は五合の徳利に収まったという。こんなことが何度かあって、怪しんだ村の若者がこの坊さんの後をつけたところ、坊さんは霧の中に消えてしまったそうな。その常念坊は安曇野の民話なのだが、現在でも常念坊の姿を我々は見ることができるという。田植えの時期に安曇野から常念岳を見上げると、法衣をまとい徳利を下げた常念坊の雪形を見ることができるそうだ。

Dsc03826 山頂の祠 Dsc03833 あれ~今ケルンが動いたような・・・

 山頂を後にすると、すぐに常念小屋方面と前常念岳経由で三股登山口へ下るルートに分岐する。さて、今宵は常念小屋に泊まろうか?それとも下山してもう1日は別のことをしようか?少し立ち止まって迷っていると・・・?ケルンが動いた?!山を彷徨う遭難者の亡霊か、それとも常念坊が酒をご馳走してくれるのか?それは1つではなくかなりの数である。少し(かなり)怖くなった。

Dsc03836 サルだったか Dsc03844 親子のサル

 しばし、呆然とガスの中にうごめくものに目が釘付けになった。しかし、その正体はサルの群れであった。それにしてもここは標高2800mだぞ。随分高いところまでサルが上がってくるものだ。サルの群れは山頂へは向かわず、ハイマツ伝いに少しずつ前常念方面に移動している。松ぼっくりを食べたり高山植物を摘んで食べているらしい。ハイマツの中からボスらしい大きいヤツがちょくちょくこちらを伺っている。親子のサルもいた。足早に母ザルが歩く後を追いかける子ザル。キーキー甘え声がうるさったい。それでも母は知らんぷり。厳しい育て方をしているなぁ。個性あるサルたちを観察していると、いつの間にか自分はサルの群れのど真ん中に。後日、調べてみると、常念山脈では最近サルの群れが稜線まで上がって、高山植物を食い荒らしたり、何と雷鳥のヒナを捕らえて食べているという。雷鳥の姿を見ることができなかったが食われてしまったのか(汗)

Dsc03847 さらばJONEN・・・ Dsc03850 チングルマの綿毛

 子ザルを見たら家に帰りたくなったのか、サルの群れとともに前常念方面に進んでいた。しばらくはハイマツが繁茂するなだらかな山稜を歩いていく。前常念岳まではなだらかな下りであるが、岩の上を渡っていく感じだ。前常念岳の山頂(2662m)は三角点があるだけなのだが、直下に赤い屋根が見えている。これは石室と呼ばれる石を積み上げて建てられた避難小屋である。人気はなく、恐る恐る中を覗くと、以外に中は快適そうであった。でもここに一人で泊まったら、それこそ常念坊の酒の付き合いをせねばなるまい。

Dsc03859 前常念直下の石室 Dsc03860 どなたかいらっしゃいますか~?

 前常念岳から先は、とんでもなく急傾斜の岩山を下っていくことになる。岩の上をピョンピョン渡っていくのだが、傾斜はキツイしたまにゴトンと岩が動くので気が抜けない。下りには自信がある山笑だが、このルートは予想以上に難路である。岩稜を下りきった頃、高年の紳士が単独行で登ってきた。かなりお疲れのようで、「想定外にかかってしまった」とこぼしていたが、これから常念小屋まで行くという。えー!?だ、大丈夫かな?

Dsc03862 岩の上を下っていく Dsc03864 足が疲れてきた。

 岩下りから解放されて、シラビソやダケカンバの樹林に入ると、今度は泥濘との戦いである。平らな場所は必ず水たまりか泥沼のようになっている。パンツの裾はどろんこになってしまい、スパッツを忘れたことが悔やまれた。あっ、樹間から安曇野の平野部が見おろせた。建物の屋根が光っているので下界は晴れているらしい。悔しいなぁ・・・突如今まで黙りこくっていた携帯電話が着信音を上げた。ふざけんなSoftBank!どこの山に行っても繋がらないくせに。近いうちに解約してやるからな。職場からの不在着信通知か?たちまち気分がモヤモヤしてきた。

Dsc03867 安曇野だ・・・ピロリン~♪ 

 標高2207m地点からルートは南に直角に折れて、樹林の急斜面を九十九折に下っていく。かなりの標高差のようで右へ左へジグザグジグザグ・・・こんな長い九十九折は初めてである。足も疲れてきて辟易してきた。ふざけんな!ボケ!携帯の着信も相まってイライラがつい口から出ていた。

Dsc03868 薄暗い森の道、クマさんに出会った・・・

 沢音がだんだん近づいてきた頃、近くの木の枝が不自然に大きく揺れた。あー?ふっと見上げてビックラポン!樹上に真っ黒なかたまり。ツキノワグマがこっちを覗っているではないか!すぐに降りてくる気配はないので、知らぬふりをして足早に離れていく。目を離さない方が良いというが、この場合はこちらが速やかに去ったほうが良さそうである。但し、後方へは120%の注意力を向けておく。ある程度進んで、追いかけてこないと分かったが、恐怖感がこみ上げてきて早足で登山口へ下っていった。

Dsc03877 ホッと一息 Dsc03879 実物はさすがに撮れず。

 三股登山口に下ったときは安堵したが、17時も回って、既に人気のない登山口は動物たちのテリトリーである。決して油断はできない。(が、すっかり安心して気を抜いていたのだが)その証拠に車を走らせてすぐ、道路脇の木から熊が驚いて滑り降りてきた。ホントにホントにホントにホントにクマさんだ~近すぎちゃってどうしよう。可愛くって(?)どうしよう。って、ここはサファリパークか!クマの生息密度が高い山中を、夕方一人で歩くのはクマ牧場の中を呑気に歩いているようなものかもしれない。今回の山行は、カモシカにサル、ツキノワグマまで登場して、北アルプスの豊かな自然を実感できた。

 山麓にある「ほりでーゆー四季の里」で汗を流し、眠気と戦いながらゆっくり家路についた。お花畑に神秘の池、アルペン踊りにサルクマ合戦、山ガールまで。盛り沢山の北アデビュー戦だった。

★コースタイム:12時間15分

三股登山口5:30→5:45登山指導所5:50→7:00まめうち平→9:30蝶ヶ岳ヒュッテ9:35→10:00横尾分岐→

(小休止)→10:25蝶槍10:35→(おにぎりタイム)→13:50常念岳14:00→(サル観察)→14:50前常念岳14:55

→16:15標高2207m地点→17:35指導所→17:45登山口駐車場

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