霧の五千尺 尊猫との出会い
塔ノ岳の山頂に野良猫が出没しているのは、山屋の間では随分前から話題になっていた。私にとって、塔ノ岳は年に何度も山頂を踏む山なのだが、その猫にはまだ会ったことがなかった。山頂にある尊仏山荘には飼い猫がいるのだが、その猫ではなく、山頂周辺を根城にしているらしい。
朝からガスガスの山頂。いつもは多くのハイカーで賑わう塔ノ岳の山頂だが、こんな朝はまばらである。展望を得られず残念な半面、静かな山頂の雰囲気を楽しんでいると・・・ニャァ~・・・出会いは突然やってきた。気がつけば私が腰掛けているすぐ傍らに白い大きな猫がいるではないか。
野良猫は本当にいたのだが、よくもまあ標高五千尺(1500m)の山頂までやってきて住み着いたものだ。ハイカーからのおこぼれに預かっているのであろう、餌に困っていないことはよく肥えた体格が物語ってる。しばらく物欲しそうに鳴いていたが、別のハイカーが姿を現すと薄情にもさっさと離れていった。
やれやれとパンを食べ始めると、ニャァ~・・・いつの間にか傍らに舞い戻っていた。実にしたたかな猫である。いや、それが猫であろう。さすがに見られてしまっては一人では食べづらい。根負けしてパンを少しちぎってしまった。この猫、名前がないようだから、塔ノ岳の旧称「尊仏山」にちなんで「尊猫」と呼ぶことにした。
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