山行 今年の紅白は白の勝ち 檜洞丸その1
今年も紅白です!この時期に?いえいえ、紅白といっても歌合戦ではありませんよ。初夏の山を彩るヤマツツジ、シロヤシオ(=ゴヨウツツジ、白組)とトウゴクミツバツツジ(紅組)が織り成す紅白花合戦の季節がやってきたんです。地元丹沢では、例年5月下旬にシロヤシオが見頃を迎えて、その後6月にかけてトウゴクミツバツツジが追うような展開ですが、今年は見頃が1週間から10日ほど早いようです。
丹沢で紅白のヤマツツジが咲くのは標高1千m以上の主稜線ですが、その中でも西丹沢の檜洞丸が一番でしょう。ツツジ新道、シロヤシオの白いトンネルを見上げながら山頂へ、下山は岩場にツツジが映えるややスリリングな縦走路。西丹沢自然教室からの三角周回ルートは、年に1回ツツジが見頃となるこの時期に歩く定番ルートです。GWが明けた頃からシロヤシオの開花が伝えられ、いてもたってもいられなくなっていましたが、土日は子守とババの介護。今年はダメかと思っていましたが・・・
5月19日(木)、この日はババを病院に連れていくため休暇を取ったのですが、病院が早めに終わったので、思い切って午後から登山に行くことにしました。午後から登山は邪道ですが、勝手知ったる丹沢定番ルートですし、日の長いこの時期なら日没までには十分下山できる時間はあります。
ということで、西丹沢にやってきました。自然教室前の駐車スペースは満車状態。そろそろ早出の下山者がいそうなものですが。待ったなしの午後山行なので、キャンプ場に駐車させてもらって出発です。日差しが強く風も温かで、登山をするには暑いくらいの陽気です。そろそろ高山を目指す時期でしょうか。
ツツジ新道に入るとポツポツと下山者とすれ違います。皆さん朝早くから登られたのでしょうね。皆さん満足感あふれる笑顔で会話も弾んでいました。こりゃあ期待が持てるな。東沢を渡渉するといよいよ檜洞丸名物の急登が始まります。何度も歩いたルートですが、暑さも相まって、何度も立ち止まって息を整えます。
標高を上げるにつれて下山者は多くなってきました。平日にもかかわらず随分多くの人が登っていたものです。やはりツツジのBESTシーズンですから、休日山行で道路も渋滞、山でも渋滞ではかないません。皆考えることは同じです。皆さん満足感に浸っての下山に対して、一人息を切らせて登ってくる山笑。「もうすぐです。花が最高でしたよ」励ましの声を何度もいただきました。
ツツジはまだかと上ばかり見て歩いていましたが、ふと気づくと足元にもささやかながらも草花が登山道を飾っていました。この季節はギザギザ対称の葉っぱが特徴的なクワガタソウや花も茎も白一色、日陰に怪しく光るギョリンソウなどがよく見られます。
やがて、先の緑の中に紅白が見え始めた頃、トレラン装束の美人さんが降りてきました。挨拶を交わすと「もうすぐそこですよ。天気も良いし、絶好の日に来れて良かったですね」だって・・・惚れてまうやろー!颯爽と下っていく後ろ姿を見送りました。もう10年若ければ・・・一瞬虚空を見つめ、視線を戻した時には既にその姿はありませんでした。もしかしたらツツジの精かもしれません。嬉しくもちょっと虚しい山笑でした。
ツツジの群落に踏み込みました。もの凄い花の数です。毎年来てはいるものの、山上で満開の花に迎えられると、その都度新鮮味のある感動を覚えます。最初はトウゴクミツバツツジの赤、先へ進むとシロヤシオの白を想定していましたが、今年はシロヤシオが圧倒的です。植物にとって花をつけることは結構体力を消耗します。年によって花の数に増減があるものですが、シロヤシオは当たり年でしょう。
遅出だったので、静かなお花見になると思っていたのですが、皆さんいつまでも花の下で休憩したり、写真を撮ったりと思い思いに花を楽しんでいました。風も温いので居心地がよく、時間が経つのも忘れてしまいますね。
石棚山稜の稜線が近づくと、ツツジ新道名物の白いトンネルです。今年の紅白花合戦は白組の圧勝のようです。歩いていくと、時折、樹間から富士山や大室山が見えていました。白い額縁に彩られて最高の風景画ですよ。
丹沢のヤマツツジはいつまでも後世に残したい地元神奈川の自然遺産です。そして、ツツジの精よ。来年もまた会えますよね。(つづく)
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