山行 天高く猫肥ゆる初秋 塔ノ岳
9月になって台風やら秋雨前線の停滞でどんより空が続いています。こうなるとなかなか山に足が向きません。しかし、夏期の運動不足が祟って、8月末の仙丈ヶ岳は予想に反してバテバテ山行となりショックを受けたし、人間ドックの結果も思わしくないものでしたから、これは秋山で体力回復を計らねばと実感する昨今です。
9月中旬の某日、正午。どんよりとした丹沢表尾根を見上げながら大倉を出発します。大倉尾根は全般的にジメジメモード。尾根に垂れこめた雲の下、霧雨が降ったり止んだりしているようです。こう湿っていると、導入部の石畳になっているところは、滑って非常に歩きにくいものです。かと言って、路肩にはヤツが潜んでいそうで危険です。
それにしても蒸し暑い。見晴茶屋の上、駒止茶屋の下、堀山の上、花立の下と相次ぐ急登にバテバテモードです。今まで大倉尾根はほとんど休憩なしで登っていたのに…夏期の運動不足だけではない加齢的な衰えが頭をよぎります。違う、違う。そうじゃ、そうじゃない!頭の中で必死に打ち消そうとする40路の峠。
そうだ!たまには花立山荘でかき氷でも♪と期待して登る花立の階段。しかし、行く手に「氷」の旗が見えません。平日はお休み。ヤレヤレ…山荘前のベンチにどっかり腰を下ろして涼みます。谷を挟んで対面する鍋割山稜は真っ白な雲に覆われていますが、雲は慌ただしく山肌を駆け上がって、時々姿を見せていました。平日の午後。天気もイマイチとくれば、下山者がポツポツ程度。寂しいなぁ~もう帰ろうかな。
取り敢えず、花立まで上がれば、少しは秋の花でも見れるかと思い上がってみました。圧倒的な存在感は、花立のキングギドラ…ヤマタノオロチか。立派な鎌首をもたげたフジアザミです。その他、マルバダケブキ、タイアザミ、ホタルブクロ、リュウノウギク、小粒ながらホトトギスやタチフウロなどが咲いていました。秋花の代表格リンドウは、まだつぼみでしたね。
花立で花を愛でていると、突然、雲が晴れて青空が広がり、塔ノ岳の山頂部が姿を見せました。広がる空は、既に夏空ではなく、薄いイワシ雲が泳ぐ秋の空でした。今年初めて秋を感じる瞬間。下界が蒸し暑くてどんより空でも登ってみるものですね。嬉しくなって、お帰りモードは雲散霧消しました。
更に背後の雲間から薄日が射し込んできました。ムムッ!成りきり天孫降臨遊びの絶好のチャンスです。
下界で言ったら狂人扱いですが、山では許される?範疇です。
さて、塔ノ岳山頂までやってきました。若いオネエちゃんとそのおじいちゃん?がすれ違いに下山していきました。人気はほとんどなく、山荘の屋根を補修するスタッフと小屋泊の方がのんびりと雲が晴れるのを待っていました。この静寂とゆっくりとした時間が何とも羨ましい。
気が付けば、時刻は15時を回っていました。西の空が薄明るく染まっています。僕は三丁目の電柱です。雨の日風の日街角に立ち、通りを見てます。眺めています。夕焼けお空はイワシ雲。そろそろ灯りをつけましょね♪懐かしい東電のCMが頭の中を流れていました。そろそろ下山をしましょうね♪階段を下り始めると…あれ?路肩の草むらに白い塊が落ちています。
いえいえ、落ちているのではなく、今や塔ノ岳のヌシ的存在の尊猫です。デップリと肥えて、この日は既に腹が満たされてたようで、私が近寄ってもチラ見程度の釣れないご対応でした。天高く猫肥える秋ですね。そしてオッサンも更に肥えそうな秋。要注意です。
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