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2016年9月 6日 (火)

山行 女王の頂きに立つ 仙丈ヶ岳その3

 7時半に北沢峠を出発します。仙丈ヶ岳(3033m)までは、ほぼ標高差1千メートルですから、単純計算上は塔ノ岳に登るよりも「楽」ということになります。コメツガなど原生林と根元を覆うコケ類の中を歩く登山道は、麓の残暑を忘れるような涼しさです。登山道は割と緩やかで、南アルプスの3千メートル峰らしい、あたかも入山を拒んでいるかのような登山口からの急登とは一風異なっています。さすがは女王様、懐深い。

Dsc07272 朝の道は涼しい

 鬱蒼とした原生林の中を延びる登山道。コケの緑ばかりで、花も咲いていませんが、根元や倒木には多種の菌類が出迎えてくれました。最初は順調なペースで歩いていきますが、これが3千メートルに近づくとガクンとペースが落ちるんですから、高高度性能の悪い旧日本軍の戦闘機みたいです。

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 登山道には1合毎に表示がされているので、今いる自分の位置を把握できるのがありがたいです。3合目は小さなコブがあって、何人かが休憩を取っていたので、自分もそこで遅い朝食をとりました。5合目は大滝ノ頭と呼ばれる場所で、馬ノ背方面への分岐点となっているので、多くのハイカーが休んでいました。この時間になると下山者も多くなります。

Dsc07286 6合目で森林限界

 最初の感動は森林限界の6合目でした。原生林を抜けて尾根上に出ると、行く手にはハイマツの緑が美しい穏やかな稜線が迎えてくれました。女王様の核心部です。しかし、背後にただならぬ存在感を感じたので、振り返ってみると…

Dsc07285 よう、よう、よう!Σ(゚д゚;)

 そこには「山の團十郎」こと甲斐駒と、その左手に凹凸の著しい岩峰の鋸岳が並んでいます。鋸岳は標高こそ2700mに届きませんが、その名のとおり、ギザギザとした荒々しい岩峰を頂き、南アルプス一の難路と言われています。ガールフレンドとの待ち合わせ場所に向かう途中で、折り悪く不良グループに呼び止められた心境です。き、君たちにかまっている暇はない!あくまで一途に女王様を求めて進みます。

Dsc07298 真っ赤なナナカマド

Dsc07292 鳳凰三山と右奥に芙蓉峰

Dsc07297 こんど必ず行くからね。

 早くも真っ赤に色づいたナナカマドが映えるハイマツ帯を歩いていくと、左手後方にアサヨ峰など早川尾根とオベリスクの突起が目立つ地蔵岳ほか鳳凰三山。その右奥には、北岳の肩から野呂川になだれる小太郎尾根の向こうに、今にも雲隠れしそうな富士の高嶺が遠望できました。実は、ここへ来るか先日のリベンジに富士山へ登るか迷ったんだよね~ゴメンね富士子ちゃ~ん。前言撤回…浮気者の山笑であります。

Dsc07306 小仙丈(手前右)と摩利支天

 やがて8合目に当たる女王様前衛の小仙丈ヶ岳(2855m、2864mと2つの標示が)のピークに到達しました。ここからは女王様の展望が素晴らしいものです。続く稜線の先に仙丈ヶ岳の大らかな山容が望め、山頂直下には小仙丈カールが広がっています。涸沢にしても千畳敷にしても、訪れる人はすり鉢状のカールの中を散策したり、幕営したりして楽しむものですが、仙丈ヶ岳の大仙丈、小仙丈カールは、人が踏み込む余地がないので、氷河時代の名残をそのまま留めています。

Img_3278 小仙丈カール

Dsc02362 イワヒバリ

Dsc03749 ホシガラス

 小仙丈カールの中をイワヒバリやホシガラスなど高嶺の野鳥が飛び回っていました。この先、冷たい秋風が吹くようになると、彼らはここを後にして山麓へ下っていくのです。高山に避暑に訪れているような野鳥の生態。何とも贅沢な暮らしです。

Dsc07323 北岳(左)と間ノ岳

Img_3280 雲上に中央アルプス

 小仙丈から仙丈ヶ岳山頂までの稜線は、右に藪沢カール、左に小仙丈カールと、両手にカールを見下ろす極上の尾根道です。左手には、野呂川源流部を挟んで北岳、間ノ岳、農鳥岳の白根三山、日本一の天上回廊と対峙します。片や右手には、仙丈ヶ岳山頂から地蔵尾根が伊那谷に向かって下り、伊那谷に垂れ込めた雲の上には、中央アルプスの山並みが望めました。南アルプス林道が通じる以前、仙丈ヶ岳への登拝ルートは、伊那谷から延々と延びる地蔵尾根をつめるルートで、仙丈ヶ岳の山の大きさが示された頃でした。林道開通後は、北沢峠から日帰り山行も可能となり、山は身近で小さな存在になってしまいました。

Dsc07325 女王様、やっとお目にかかれましたね。

Img_3285 あれって女王様の胸かしら…

 北沢峠から約3時間。遂に女王様こと仙丈ヶ岳(3033m)の頂きに立ちました。山頂には20人ほどのハイカーが憩っていて、周囲の展望を楽しんでいましたが、この時間になると雲が上がってきて、時折山頂を霞めていきました。私も南面の石の上に腰を下ろし、塩見岳方面に延々と延びる仙塩尾根の山並みを眺めながらの昼食をとしました。生憎、塩見岳は雲隠れしていましたが、双耳峰の大仙丈ヶ岳が間近に見えていました。(つづく)

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