山行 霧に浮かぶ花々 鍋割山稜
5月28日(日)、朝の散歩がてら鍋割山を歩いてきました。朝6時には表丹沢県民の森に到着したので、10台分もない駐車場の最後の1台に滑り込みセーフ。とはいっても、林道の路肩駐車が当たり前の場所ですけどね。
いつもは賑やかな西山林道歩きですが、まだ大倉にバスが上がって来ない時間なので誰も歩いていません。やっぱり山歩きは早朝に限ります。林道沿いには紅白のニシキウツギ、マルバウツギ、ヤマアジサイなど、白系のやや地味なメンバーが咲いていました。
西山林道の終点から後沢乗越までの植林帯歩き。カッコウの仲間であるホトトギス、ツツドリやアオバトの鳴声を聞きながら木々の根元を観察してみると、かわいらしいホウチャクソウやハンショウヅルが。色こそ赤紫と白で違いますが、その垂れ下がるように下向きに咲く姿がお寺の半鐘や宝鐸に由来しています。
鍋割山南稜尾根に上がる後沢乗越まで来るとガスが立ち込めていました。この日は快晴の天気予報でしたが、丹沢の山々には一日雲がかかったようです。白い尾根上に浮かび上がったのは真っ赤に咲きそろったヤマツツジです。朝霧に浮かぶ真紅のツツジ、よもや見忘れたとは言わせねえぜ!とにかく印象的な赤でした。
鍋割山頂(1273m)で朝マックならぬ朝鍋焼きを楽しもうと思っていましたが、鍋割山荘は8時半からの営業でしたので、そのまま鍋割山稜を歩くことにしました。雨こそ降っていませんが、湿気の多い雲が垂れこめると森に潤いを与えてくれます。時折差し込む陽の光に、朝露が輝いて名も無き草に装いを与えていました。
鍋割山稜は小丸(1341m)と大丸(1386m)の小ピークがあって、適度なアップダウンを繰り返しますが、ブナの大木とトウゴクミツバツツジの花を楽しみながらのんびりと歩きます。晴れていれば右手に秦野市街から相模湾までを見下ろし、左手には蛭ヶ岳など丹沢主稜線が並行しますが、今回は雲がかかって、たまに雲の晴れ間から主稜線が顔を除く程度でした。
ブナ林やツツジの花などに目を奪われがちですが、木々の根元や藪影を注意深く観察してみると、ついつい見落としてしまうような植物を見つけることができます。今回はササバギンランを見つけることができました。こうした山野草もシカの食害や盗採によって年々数を減らしているようです。
下山路として選んだのは、樹木の伐採作業中で通行中止となっている小丸尾根を下ってみました。昨年来枯れ松の伐採作業で通行中止となっていますが、延長、延長を繰り返して、解除の見通しは立っていないようです。鍋割南稜と大倉尾根のちょうど中間に位置しているので、鍋割山にも塔ノ岳へもアクセス、エスケープできる便利な尾根なので、通行止めは何かと不便です。どんな状況か気になったので、ちょっと覗いてきました。が…
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絶句でした。小丸尾根の下方にあったアカマツの樹林見る影もなく伐採されていました。マツクイムシか何かの食害にあって伐採せざるを得なかったのでしょうけど、ここまで無残な状況とは夢にも思いませんでした。禁を破った後ろめたさはあったものの、見ておいて良かったと思いました。また小丸尾根を安全に歩ける日が来ることを待ち望んでいます。
★コースタイム:4時間10分
表丹沢県民の森6:20→7:20後沢乗越→8:15鍋割山8:20→8:55小丸尾根分岐→10:10二俣→10:30県民の森