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2017年6月30日 (金)

山行 シャクナゲ咲く標高2千の散歩道 甲武信ヶ岳~雁坂峠縦走その4

 甲武信ヶ岳山頂で周囲のハイカーに山座同定を披露し、すっかり悦に入った山笑。しかし甲武信ヶ岳まででは三角歩きの一辺でしかありません。二辺目は東に転じて雁坂峠までの武甲国境尾根歩きです。標高2千米の稜線のお散歩がスタートです。

Dsc00109 ミツバオウレン

Dsc00161 コミヤマカタバミ

 甲武信小屋から木賊山を巻く道はシラビソやコメツガの鬱蒼とした樹林の中を歩きます。木々の根元には苔が密生していますが、その中にコミヤマカタバミ、ミツバオウレンなどの小さな花も見つけました。

Dsc00104 シャクナゲの道

 巻道から再び木賊山の尾根道に出るとザレた下り道となります。この辺りの稜線にはシャクナゲが群生していましたが花は全く見られませんでした。

Dsc00111 賽の河原から破風山を望む

 やがて樹林が晴れて白砂と花崗岩が斜面を覆う場所を通過します。賽の河原と呼ばれる場所です。スリップし易いので慎重に進みましょう。正面にこれから向かう破風山を望みますが、まだまだ遠いですね。そこへ現れたのが…

Dsc00130 ダンナ、道案内しやすぜ

 小さな小さなミヤマハンミョウが登場しました。ハンミョウの仲間は大きな顎を持って他の昆虫を捕食します。近づくと飛んで逃げるのですが、1~2m先の行く手に再び着地してこれを繰り返す習性があるため「道おしえ」という別名があります。賽の河原だけに地獄の道案内でしょうか。

Dsc00121 今度は満開ロード♪

 賽の河原から更に下っていくと再びシャクナゲの群生地に入ります。な、なんとこの付近は満開のシャクナゲロードでした。葉のつき方を観察するとアズマシャクナゲより遅咲きのハクサンシャクナゲのようですね。

Dsc00125 ハクサンシャクナゲ

 いやぁ、甲武信ヶ岳=シャクナゲで割り切ってはいけませんね。奥秩父一帯はシャクナゲの群生地が各所にあります。思わぬところで満開のシャクナゲに出会えて癒されましたよ~♪ちなみに甲武信小屋からの縦走路は誰も歩いていませんでした。

Dsc00134 あれま、こりゃあどうしたことか?

Dsc00135 縞枯林と破風山

 シャクナゲ群生地のお次はうって変わって枯死した大木が林立する殺風景な場所です。これは標高2千~3千mの亜高山帯に見られる縞枯れ現象です。縞枯れ現象とは、一定範囲のシラビソやツガが集中して枯死して、遠くから山を見たときに枯死した部分が縞模様に見えることを言いますが、その原因は木の世代交代、風の影響、土壌の影響、日照の影響などの各説があるもののはっきりとした原因は解明されていないそうです。北八ヶ岳の縞枯は有名ですが、大小規模の差はあるものの日本全国の亜高山帯で見られる現象です。

Dsc00139 避難小屋のある笹平

 やがて雁坂峠までの最低鞍部である笹平に到達しました。その名のとおり低い笹が生い茂る草原状の気持ちの良い場所ですが、そんな場所に破風山避難小屋があります。小屋に泊まってこの景色を眺めていたくなるようなロケーションですが、避難小屋には窓がありません。風が通る場所なので頑丈な構造になっているのでしょう。それにしても、見上げる破風山の岩場混じりの斜面が実に急に感じられます。栄養補給のためここでお昼にしました。

Dsc00127_2 破風山のシャクナゲ Dsc00148
 破風山への登り返し。一歩一歩焦らず丁寧に歩いていたら、再び満開のシャクナゲが出迎えてくれたので、辛さもかなり和らいだようです。笹平から破風山の西面は、風当たりの強い場所のようで高い木は生えていません。振り返ると木賊山や甲武信ヶ岳、三宝山を間近に望みました。

Dsc00152 木賊山を振り返る(コブシは右寄り奥の小突起)

Dsc00163 破風山山頂は展望なし

 やがて樹林に入ると展望のないピークに三角点が置かれた破風山(2318m)に到達しました。破風山とは荒々しい名の山ですが、この山の姿が家屋建築の破風(屋根の「八」面)に見えることから名づけられたそうです。

Dsc00167 日本庭園のような破風山
 ピークを天に突き上げる破風山ですが、実はピークが東西二つあって、破風山の三角点は西峰になります。ここから東峰まではほぼ平坦なのですが、ルートは花崗岩の岩場を歩く区間になります。疲れた体にはちょっと辛い場所ですが、針葉樹と花崗岩のコントラストが日本庭園のよう場所です。

Dsc00175 雁坂嶺と雁坂峠を望む夫婦

Dsc00176 立ち枯れの多い雁坂嶺

 東破風山(2280m)から岩場を標高差100m下って、再び雁坂嶺(2289m)に向かって標高差100mを登り返します。この付近は単調なのですが、樹林の立ち枯れ帯が多い場所です。一見すると山が荒れている様に感じますが、これも自然のサイクルの一部なのでしょう。見通しが良いので時折下草を食むシカの姿を見ることができました。

Dsc00186 雁坂峠に下ります。

Dsc00191 こういうの好きですね。

 雁坂嶺からササが生い茂る明るい斜面を下っていくとすぐに雁坂峠(2082m)に到達しました。雁坂峠は古来より甲斐国峡東と武蔵国秩父地方を結ぶ街道が越える峠で、北アルプス針ノ木峠、南アルプス三伏峠と並んで日本三大峠に指定されています。今ではこの峠の下をR140雁坂トンネルが通じていますが、平成10年の開通以前のR140は登山道としてこの峠を越えていました。山梨県東部にはこの雁坂峠の他、雁峠、雁ヶ腹摺山など「雁」のつく名称の地名が多いのですが、昔から人だけでなく渡り鳥も越えていく峠なのでしょう。

Dsc00196 またお会いしましたね。

 さて、雁坂峠からは三角形の最後の一遍を歩いて西沢渓谷入口へ下山します。ミヤコザサの南面をジグザグと下って、ツガやシラビソの針葉樹林に入ります。その下はブナやミズナラなどの広葉樹林、更にはカラマツ林と標高によって樹相が変わるのが分かりやすい道です。やがて沢沿いの危なっかしい道を経て舗装道路の終端部に下山します。

Dsc00223 雁坂トンネル料金所から見上げる雁坂嶺

Dsc00222 料金所近くにいたシカの群れ

 西沢渓谷入口までの最後の1時間は舗装路歩きとなります。やがてトラックやバイクのエンジン音が大きくなってきて、雁坂トンネルの山梨県側の出口を見下ろします。往来する車両を尻目にシカの群れが草を食んでいる光景はちょっと意外でした。でも、動物たちが山奥で生活しているというのは人間の勝手な先入観です。元々は里山と呼ばれるような丘陵地帯を生活の場としていた動物たちが、人間によって山に追いやられてしまったんですからね。更にこんな山奥にまで道を通して、おまけに奥秩父のドテッ腹に長いトンネルまでぶち抜いてるんですから、人間の開発欲も呆れるばかりです。

 最後はかなり端折ってしまいましたが、夏至の頃らしいたっぷり歩いた日帰り山行でした。

★コースタイム:11時間20分

西沢渓谷P5:40→6:05徳ちゃん新道入口→7:50近丸新道出合→(休憩15)→9:45縦走路出合

→9:50木賊山9:55→10:30甲武信ヶ岳11:10→11:20甲武信小屋11:25→12:15笹平(昼食)12:35

→13:15破風山→13:35東破風山13:40→14:25雁坂嶺→14:40雁坂峠14:55→16:05林道出合→17:00西沢渓谷P

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