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2017年8月 8日 (火)

山行 高山植物の女王コマクサ 北ア・燕岳その4

 燕岳山頂を目指して花崗岩とハイマツの稜線を歩きます。アップダウンもなだらかでお散歩感覚で歩ける稜線です。右手に湧き上がる雲に隠れ用としている有明山を見下ろし、左手には高瀬川源流部を挟んで裏銀座の山々が並びます。遠きかな裏銀座。行ってみたいな裏銀座。

Dsc00793_2 花崗岩の稜線

Dsc00886 左から双六岳、丸山、三俣蓮華岳、鷲羽岳、ワリモ岳(裏銀座)

 燕岳の山頂部は花崗岩の巨岩が林立していますが、この花崗岩が風化した砂礫が稜線を覆っています。砂礫の稜線は保水性や養分に乏しく、風雨による侵食によって変化しやすいため、植物の生育に不向きな環境です。しかし、白浜のようなザレた斜面には美しい花が群生していました。

Img_5820 コマクサです♪

 コマクサは中部山岳地帯以北の高山帯に生息する10cmほどの可憐な花です。コマクサの名の由来は、花の形が馬の頭部に似ていることから「駒草」と名付けられたそうです。かつては中部山岳地帯の各所に大規模な群生地が存在したそうですが、古くから「百草丸」など腹痛の妙薬として珍重されてきたため採り尽くされてしまい、一時はほぼ絶滅状態になっていたそうです。その後、官民一体の保護活動により群生地が戻りつつあるようです。

Dsc00804 雨ニモマケズ、風ニモマケズ…

 そのコマクサの花がちょうど見頃を迎えていました。しかし、どうしてこの小さなコマクサだけが砂礫の斜面に適応しているのでしょうか?実は地表に生えている馬面の小さな花とパセリの様な葉っぱは氷山の一角。地下には1m以上にもなる長い根を地中深くに下ろしているというから驚きです。また、パセリの様な葉にも秘密があって、葉の一面に繊毛を生やしていることで大雨の時は水を摂取しすぎないように。逆に乾燥時は待機中の水分を捕えやすくしているそうです。

Dsc00859 いつかは緑あふれる稜線に?

 このコマクサの感動的な話をご紹介しましょう。高山のザレた砂礫の斜面。そこに最初に根を下ろすのがコマクサなのは前述のとおりですが、長い年月を経て土壌が形成されてくると他の植物も順応する環境に変化します。すると、コマクサはそれら植物に圧倒されて姿を消してしまいます。不毛の高山に最初に根付いて開拓者の役割を果たしているコマクサ。その可憐なるもたくましい生態のコマクサに対して、いつの頃からか「高山植物の女王」の別名が冠されるようになったそうです。

 このコマクサの生態をもう少し早く知っていたら、自分の人生や子育てについて、今とは違う方向性を見出していたかもしれません。そんな思いを抱かせてくれるコマクサとの出会いでした。

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