山行 中房温泉に来たぁ~ 北ア・燕岳その1
7月末日、2年ぶり2回目の北ア登山に行ってきました。前回は蝶ヶ岳~常念岳の縦走でしたが、今回も同じ常念山脈の燕岳(つばくろだけ)です。常念山脈とは、富山、長野、岐阜の三県にまたがる広大な北アルプスの中で、穂槍の主稜線とは梓川源流部を挟んだ東、後立山連峰とは高瀬川源流部を挟んだ東に平行する山並みです。北から南へ餓鬼岳、燕岳、大天井岳、常念岳、蝶ヶ岳、大滝山など3千m弱の山が並んでいますが、長野県の中信地方、松本平や安曇野から北アルプスを見上げた時、穂槍の主稜線はこれらの山並みに遮られて見えないため、常念山脈は「前山」と呼ばれて人々に親しまれてきたそうです。
燕岳(2763m)は、常念山脈の北部にあって、山頂部は白く巨大な花崗岩が露出して緑のハイマツとのコントラストが美しい個性的な山です。また、燕岳への登山道である合戦尾根は、北アルプス三大急登のひとつで、登山口である中房温泉(標高1450m)から稜線の燕山荘(2704m)まで標高差1250mを歩程5.5kmで稼ぎます。標高差は丹沢大倉尾根とそれほど変わりませんが、大倉尾根は標高差1200mを歩程7kmで稼ぐ訳ですから、視点を変えると感じるものがあります。とはいえ、槍ヶ岳へ通じる表銀座ルートの導入部ともあって、登山道は明瞭かつ整備が行き届いていますので、北アルプス登山入門中の入門といえるルートです。北ア登山といえば、とかく、穂高や槍、白馬など本丸狙いのハイカーが多い中で、大手門から正攻法の山笑であります。
安曇野市を見下ろす信濃富士こと有明山。前回ご紹介した八面大王がここに巣食い恐れられた信仰の山です。常念山脈から突出したこの山を迂回するように流れるのが中房川で、深い渓谷が形成されています。登山口の中房温泉までは、この渓谷沿いの道をクネクネと走っていきます。早朝だと思って油断してはいけません。今回もカーブでタクシーとばったり鉢合わせ。ハッとしたところに猛烈にビービークラクションを鳴らされ、更に運ちゃんが窓から顔を出して何か喚き散らしています。(マスクしてて意味不明でしたが)いやいや、こっちも油断してましたけど、そっちだってそれなりの速度で下ってきたんだからそんなに吠えなくたっていいでしょ。先日の上高地もそうでしたが、ここいらのタクシー運ちゃんはどうも荒っぽい人が多いようです。こういう短絡的な行為は、安曇野タクシーだけでなく業界全体のイメージの悪化に繋がると思いますけどね。
安曇野インターから車で1時間。穂高温泉郷の宿からは30分。常念山脈の山懐にひっそりとたたずむ中房温泉に到着しました。中房温泉には温泉宿と市営の宿舎の2件があり、共に源泉かけ流しの贅沢なお風呂です。中房温泉の開湯は、前述の有明山の八面大王を征伐した坂上田村麻呂がこの湯で将兵の傷を癒したといわれています。明治時代には登山を我が国に紹介したウェストン夫妻も入湯したとか。道路が通じている今でも秘湯感満載ですので、その昔は秘湯中の秘湯だったことでしょう。入浴するだけでもここに来る価値があるでしょう。
中房温泉には登山者用の無料駐車場が3箇所あります。ハイシーズンはこの3箇所に収まりきれず狭い県道に路上駐車が溢れるといいます。例年ならば7月末は夏山シーズン本番なのですが、今年は梅雨空が続いているためでしょうか、一番上の第1はほぼ満車でしたが第2駐車場に難なく駐車できました。それに平日ですしね(笑)道中や駐車場からは残雪が残る稜線が垣間見えていました♪実は連日の梅雨空模様で、前日も夕方まで雨が降ったりやんだりでしたので、朝風呂入って帰ろうかと迷っていたんですが、思わぬ好天気に当たって稜線に馳せる思いが一気に高まりました。
駐車場から歩いて5分。硫黄臭漂う登山口で入山届を記入します。上高地から涸沢、穂高や槍、常念山脈と広域のルート図の端っこにちょこっと燕ピストン…それが今回私に与えられた機会だと思うとちょっと虚しくなりました。時間は5時半。既に三々五々ハイカーが登山口を発っていきます。朝ごはんとお手洗いを済ませて出発しましょう。
(つづく)
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