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2017年9月12日 (火)

山行 丹沢の貴婦人に会いに 丹沢表その1

 9月10日(日)、丹沢表を歩いてきました。この時期、一部の丹沢愛好家たちの間では、サガミジョウロウホトトギスという花が密かに話題となります。別名「丹沢の貴婦人」とも呼ばれるこの花ですが、私自身は今までお目にかかったことがありません。今回初めてこの花をお目当てに歩くことにしました。

Img_6206_3 丹沢の貴婦人

 サガミジョウロウホトトギスという花は、ユリ科の多年草で、沢沿いの岩壁に自生して3、40cm程の長さの茎は岩から垂れ下がる様に生えています。9月上旬、茎の先端部に黄色い釣鐘状の花を複数咲かせますが、ユリの花というよりはホタルブクロの花が黄色くなったようなイメージです。ジョウロウホトトギスの種は、キイロジョウロウホトトギスなど数種類あるようですが、どれも太平洋側の山奥、沢沿いの湿った環境に自生しているので一般には馴染みの薄い花です。サガミジョウロウもその中の一種ですが、丹沢南部の一角にしか咲いていない珍しい種だそうで、絶滅危惧種に指定されているそうです。それでいて心無い盗採によって個体数は更に減少しているそうです。

Dsc01621 戸川公園を出発です。

 6時半、大倉の戸川公園を出発して、水無川に沿って塔ノ岳の山懐に通ずる戸川林道を歩きます。戸川林道は一般車の通行を禁じていないため終点の戸沢まで車で入ることが可能なのですが、すぐに未舗装路となり斜面からの土砂の流入や雨や沢水による浸食によって、路面のギャップが各所にあるため軍馬での侵入はやめておきました。約6kmの林道歩きで足慣らしです。丹沢表は何十回も歩いてきましたが、戸沢周辺のルートはこの長い林道歩きを倦厭してほとんど歩くことがありませんでした。

Dsc01626 竜神の泉

Dsc01633 土砂流入箇所

 水無川の沢音を聞きながら戸川林道をテケテケ、クネクネと進んでいきます。川の対岸には平行する大倉尾根がありますが、朝日を受けて緑が眩しく輝きます。この日は朝から晴れて気温が上がる予報でしたので、大倉尾根と表尾根に囲まれた川沿いの林道歩きは涼しくて快適でした。

 軍馬はホイールベースが長いので、路面のギャップによる底すりやバンパーの破損を危ぶんで大倉に残してきましたが、戸沢まで歩いていると車が何台か乗り入れてきました。ランクルは問題なし。ヴィッツはベースが短いからまあセーフでしょう。マークXとかプリウスも入って行きましたが…大丈夫でしょうか?それにしてもトヨタ車ばっかだな。

Dsc01635 戸沢から望む塔ノ岳

 大倉から70分ほどの林道歩きで終点の戸沢に到達しました。広い河原の駐車スペースには10台ほどの車が停まっていました。ここから天神尾根をつめて大倉尾根の上部に出合い塔ノ岳を目指せば通常ルートでは最短コースですが、やっぱり塔ノ岳へは変化に富んだ表尾根縦走か根気の大倉尾根歩きが常道だと私は思います。大倉尾根にも表尾根にも林道に下りるショートカットルートが何本かありますが、どれも植林帯の中の急斜面で実に面白みに欠けます。下の方にはヒルもいるしね。

 さて、戸沢からは書策新道を歩きます。書策新道は、かつて表尾根・新大日の少し下にあった書策小屋で、88歳の高齢まで小屋主を務めた伝説的な人、故渋谷書策氏が開通した戸沢から表尾根の新大日下に通ずるルートですが、8年前に渋谷氏が亡くなられ書策小屋が廃業になった後は、荒廃して現在は廃道となっているそうです。今や書策新道ではなく書策廃道なのですが、とはいえ、ネットを見ていると歩く人も結構いるようで、更にお目当ての花が咲いている場所もありそうなので、私にとっての新道として初挑戦です。

Dsc01638 沢が集まる戸沢

 今や廃道となった書策新道の入口は、道標なども無く実に不明瞭で、地図をよく見つつ周囲に注意しないと見逃してしまうかもしれません。天神尾根方面に少し歩いて、本谷沢と源次郎沢の二つの沢が出合う少し上で源次郎沢を渡ります。後はやや左手の尾根筋に注意していくと通行止めのロープがありそこが入口です。通行止めのロープを跨ぐことは自己責任の域に踏み込む訳ですから、気を引き締めて行きましょう。

Dsc01646

 しばらくは植林体の中をジグザグと九十九折するのですが、そのうち本谷沢に沿って奥に延びるやや平坦な道になります。断層の名残か所々岩が露出した良い雰囲気となってきます。樹林の間から行者ヶ岳の稜線や本谷沢の滝が少しだけのぞいていましたが、葉が落ちる冬場にはもっとよく見えることでしょう。

Dsc01648 朽ちた橋

Dsc01652 右手が切れ落ちています。

Dsc01653 切れ落ちた斜面のトラバース

 枯れた沢を何度かトラバースしていきますが、片側が切れ落ちているスリリングな箇所もあって気を抜けません。でも、そのうちこのドキドキ感が何ともいえない快感になっているんですよね。それにしても書作氏はよくもまあこんなルートを開拓したものです。子供の頃、近所の遊び仲間たちと山に分け入って、竹藪を切り開いてトンネルのような、迷路のような道を作って遊びましたが、あれは実に楽しかったです。ビニールシートやダンボールを持ち込んで泊まり込んだこともありました。(後になって近所の山が私有地と知って苦笑いでした)

Dsc01655 本谷沢渡渉部

 やがて今までになり大きな流れの沢に行き当りました。この流れは本谷沢ですが、ここで談笑するオジさん二人と出会いました。確か戸川公園で用足しをご一緒した(?)お二人です。林道では車もトロトロ走るから歩いてもそれほど時間差がないのかな?

 マイナールートは好きなのですが、独り山に抱かれていたい気分のときもあれば、人気が全くないところを歩いているときに気持ち悪さを感じるときもあります。そのときのコンディションや天気などが影響しているものと思われますが、この日はオジさんたちに出会ってちょっと安心しました。初めてのルートだからでしょう。

Dsc01658 相模湾まで見えました。

Dsc01663 小さなゲンノショウコ

Dsc01666 タイアザミに寄るツマグロヒョウモン

Dsc01668 センチコガネと戯れる♪
 本谷沢から急斜面を上がると南面が開けて真鶴半島までが見えました。付近の斜面は草原状になっていて、マルバダケブキ、フジアザミ、タイアザミ、ゲンノショウコなどが咲いていて、ツマグロヒョウモンがのんびりと花を回っていました。ピカピカのセンチコガネが慌ただしく行き交っているということは、周囲に鹿のフンが多い証拠でしょうね。花や虫たちを愛でているうちにふと気づくと、斜面のすぐ下に赤い帽子の女性ハイカーが独りたたずんでいました。先に道を譲っても送り狼みたいなので、失礼して先に進みました。戸沢からチラホラと赤い帽子が後行してくるのに気づいていましたが、彼女だったんですね。

 再び小さな沢の流れを渡ると草が繁茂している厄介な場所です。赤テープが散見されるし踏み跡が続いているので大丈夫だとは思うのですが…あれ?女性ハイカーが沢に入って行きました。なんだーそっちだったんだ~。早く言ってよねぇ。

Img_6200 こんな立派な滝の傍らに…

 沢の上部でたたずむ女性。上には進めなさそうですがどうしたんでしょう?こちらに視線を向け…「やっぱりいらしたわね。山笑さん。この秘密の場所にあなたをお連れしたかったのよ」…なんて新田次郎の山岳小説の下りのような場面はオッさんの勝手な妄想ウルトラセブン。女性は斜面を観察していましたが、その視線の先には…あ~~~!(稲川調)

Dsc01682 おお!サガミジョウロウホトトギスだ。

 沢の岩壁にお目当てのサガミジョウロウホトトギスが垂れ下がっていました。そんなに数はまとまっていませんが、近くの滝の上の方にもチラホラ見受けられました。「いやぁ~初めてのルートなんで道を間違えたかと思ったら、これが噂に聞く花なんですね」テレ隠しについつい口から出任せの山笑。一人テンション上がるオッさんとは対照的に女性は口数も少なく沢を下って行きました。

 貴婦人が招いた「丹沢の貴婦人」か…行ってしまった。(つづく)

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