山行 美しい氷の世界に潜む殺意 雲取山その4
前回に続き年越しの雲取山ネタですが、ご容赦くださいませ。
ブナ坂で石尾根と別れて石尾根の北面を下ります。さっきまでの陽だまりが嘘のように路面が凍っていて、慎重に下っていきます。正面に往路歩いた野陣尾根を見ながら20分ほど下ると…
唐松谷の源流部に降下しました。見れば水面が白濁しているようです。これは濁り湯の温泉では?♪と一糸まとわぬ姿になって、それっ、飛び込め―!
な、なんと、川が凍りついていました。まあそうじゃないかとは思っていたんですけどね。危うく人知れず全裸オッサンの氷祭りになるところでした。陽の入らない唐松谷は氷に閉ざされた世界になっておりました。
水面は概ね凍ってました。
周囲は花も葉もない冬枯一色の世界ですが、この氷の造形が今まで見たこともないような美しさで…富士の氷穴で見たかも…想定外に目を楽しませてくれました。北国の川はみんなこんな感じなのかもしれませんが、神奈川の住民としてはとっても珍しく感じました。
小滝が特にいいね♪
唐松谷に入ってしばらくは右手に氷の造形美を見物しながらのんきに歩いていましたが、徐々に登山道と沢との高さが大きくなって、かなり緊張する道になりました。所々、左側斜面からの土砂の崩落があって、それに落ち葉がいやらしく覆って接地点を隠してしまいます。ズルッといったら数十メートル滑落。そこでオッサンは夏まで冷凍保存でしょう。滑るのはオヤジギャグだけにしたいものです。
やがて斜面から切れ落ちた崖につく羨道になりました。ここは黒部か蜀の国?唐松谷林道はかなりヤバいルートでした。山の夕暮れは思いのほか早いものです。15時も過ぎて、長沢背稜に石尾根の凸凹とした影が映り、唐松谷には夕闇が迫っているのが感じられました。
焦りが募る一方ですが、足もかなり疲労していたので、ギャップに足を取られるミスだけは避けねばなりません。 落ちたら死ぬなと思っていると…
これまたご冗談を(汗)
そうかぁ~かみの狙いはこれだったのか!泊付き山行を認めず、あわよくば疲労した私が谷に落ちて冷凍保存になるのを期待したのでしょう。は、謀られた!と、思っていた矢先…
唐松谷林道の入口にある唐松橋に到達しました。つり橋のたもとにトロールの様な不気味な岩が座していましたが、私の生還を妨げようものならば、ガラガラドンの童話ようにミンチと化すことでしょう。ここまで来れば、後は軍馬の待つ小川谷出合までひたすら林道歩きです。
星は空を散りばめん
日原林道を歩きだすと既に夜の闇が覆い始めていました。「私を夜の闇に包め」なんて格好つけている場合じゃない。急ぎましょう。この後、真っ暗な山中をオッサンのアニソンヒットメドレーが木霊したとさ。幸せをもたらすといわれてる どこかでひっそり咲いている 花を探して~花を探しています~♪
帰宅して、かみが一瞬見せた鳩が豆鉄砲を食らったような表情を私は見逃しませんでした。チャチャチャ、チャチャチャ、チャ~ラ~火曜サスペンス劇場
★コースタイム:9時間25分
日原小川谷出合8:00→9:30日原林道終点→10:00富田新道分岐→12:15小雲取山→12:40雲取山13:15
→14:10ブナ坂→16:05日原林道終点16:10→17:25小川谷出合
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