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2018年8月 4日 (土)

山行 雷鳥が散歩するガスの燕岳 表銀座縦走その2

 7月29日(日)4時半。穂高駅の近くにある登山者用駐車場に到着です。幸い雨は降っておらず、雲間からは青空ものぞいています。しかし、安曇野富士こと有明山や常念山脈は雲に隠れておりました。

Dsc05578 穂高駐車場

 登山者用駐車場は100台規模のスペースがある駐車場ですからいっぱいになることは滅多にないでしょう。この日は台風の影響もあってか20台程度でした。4時53分発の始発バスを待ちますが、その間にも2、3台のタクシーがやってきて相乗りを勧めてきます。私以外にいた2組のペアがタクシーで先発していきました。登山者にとっては、タクシーで登山口に向かえばバスで入るよりも大幅に早出できるメリットになりますが、バスのお客をかすめ取るような営業はちょっと?です。ちなみに私は、「一人です」と言ったところ、「あ、そう」と運ちゃんに素っ気なくスルーされてしまいました。

Dsc05579 中房温泉

 始発バスには既に5人ほどの先客があって、駐車場から私も含めて3人。この後、5箇所ほどの停留所でパラパラと客を乗せ、2人掛けシートに1~2人掛けでほぼ席が埋まっていました。夜通しのドライブだったので、バスの中で仮眠しようと思っていましたが、中房温泉に通じる県道はクネクネとしたワインディングロードで、とても眠れたものではありません。中房温泉の手前では、車窓からサルの群れが見えました。中房温泉は秘湯ですが、ここいらのサルが温泉に入るのは聞いたことがありません。

Dsc05580 出かけるときは忘れずに!

 バスは6時に登山口の中房温泉に到着。時折雨がパラつく中、マイカー組や団体バス、夜行バス組など続々と到着して賑やかです。日曜日なので、燕岳の日帰りピストン、燕山荘1泊組が多いと思われますが、さすがは北アルプスの人気コースです。入山届を提出して腹ごしらえをしたら、いざ!出発しましょう。

 合戦尾根は、標高1450mの中房温泉から2704mの燕山荘までの標高差約1250mをひたすら登ることになります。裏銀座縦走コースの導入部ブナ立尾根、剱岳直登の早月尾根と並んで北アルプス三大急登のひとつに数えられますが、塔ノ岳の大倉尾根(標高差1200m)に慣れている私には「三大」ってほどのレベルではない印象です。昨年の全く同じ時期に燕岳日帰りピストン登山をしたので、ルート上のポイントは結構覚えていましたから、ペース配分をし易かったともいえるでしょう。合戦尾根については、昨年同様快調に登っていくことができましたが、雨やガスで周囲を気に止めることもなく黙々と登ってしまったので、昨年の記録をご参照ください。(参照:http://yama-umi.cocolog-nifty.com/blog/2017/08/post-81e2.html

Dsc05615 ゴゼンタチバナ

Dsc05625 ウサギギク

 合戦小屋を経て稜線が近づくと少し明るくなってきましたが、それでもガスは晴れません。学校登山の若い衆が数十名も下って行きましたが、台風の影響で槍ヶ岳は断念し燕山荘で台風をやり過ごして下山するそうです。天候が安定する7月下旬から8月上旬にかけて、信州の中学・高校の多くでは学校行事としてアルプス登山が行われてきました。事件史好きの私が学校登山と聞くと、大正2年に発生し、新田次郎の小説「聖職の碑」の題材になった木曽駒ヶ岳での遭難や昭和42年西穂高岳での落雷遭難事件を連想してしまうのですが、それでも現在まで学校登山が継続しているのは、長野県民にとって山が身近な存在であって、登山が心身を鍛錬する格好の機会として認識されているからなのでしょう。

Dsc05624_2 コバイケイソウ Dsc05631_2 テガタチドリ

Dsc05630 ヤマハハコ

Dsc05632 ミヤマトリカブトとオンタデ

 中房温泉か約3時間。ガスガスの燕山荘に到着しました。燕山荘直下のお花畑には、ゴゼンタチバナ、エゾシオガマ、ウサギギク、コバイケイソウ、ミヤマトリカブト、テガタチドリ、ヤマハハコなどの花が咲いていましたが、既に見頃が過ぎていた感がありました。

Dsc05634 ガスガスの燕山荘

 燕山荘の前にいたオジさん2人に話を伺うと、2日前から燕山荘に滞在していて、一昨日は見事な夕焼けが見れたものの、前日は台風の影響で小屋が揺れるほどの風雨だったとか。この日も連泊するが、このガスではやることもなく酒を飲んだりブラブラしているのだとか。私も一旦北の稜線を歩いて燕岳山頂周辺の花崗岩の奇勝を見る予定でしたが、山頂方面は全く見えなかったので、そのまま縦走路に進むことにしました。

Dsc05637 コマクサ

 踏み出して間もなく、燕山荘下の斜面で名物のコマクサを見ていたら、ピヨピヨと可愛らしい鳴き声が聞こえてきます。「これは・・・」と思って周囲に目を凝らしていると・・・

Dsc05650 ライチョウのひなたち

Dsc05642 ママも登場

 ライチョウのヒナたちが草の芽を突っついていました。そのうちグーグーとお母さんライチョウも登場しました。ヒナは目視しただけで6羽いたと思います。折からたちこめるガスと見事な保護色でなかなかはっきりしません。そりゃあそうでしょう。飛ぶことも走ることも苦手。高山でのんびりと暮らすライチョウの最大の武器は、季節によって生え変わる保護色の羽です。人に見やすいようにサービスしていたらあっという間にライチョウは絶滅してしまいます。このガスガスの空模様も、ライチョウにとっては猛禽類など天敵に見つからない安心して行動できる状況というわけです。それ即ち、我々にとってもライチョウに遭遇する確率が高くなるプラス要素という訳です。

Dsc05673 ガスの中をひたすら・・・

 ライチョウ観察を楽しんだ後、縦走路に踏み入れます。2時間程はハイマツの生える稜線上を緩やかにアップダウンを繰り返す歩きやすい道です。晴れていれば、行く手に槍ヶ岳や穂高連峰を望む爽快な天井散歩を楽しめる区間ですが、時折明るくなるもののガスは晴れることなく、仕舞には風雨も交じるようになってレインウェアを着用しました。久しぶりの雨の中の山行です。こうなると全く面白みもなく、疲労感ばかりが増していきます。

Dsc05693 チシマギキョウ

 合戦尾根の賑わいは何処へやら?歩く人はほとんどなく、独り山行を好む山笑といえども少し心細くなってきました。見るものといえば、地に生えるコマクサの群落と岩場に生えるチシマギキョウくらいなものでした。

Dsc05700_2 表銀座ルートの開拓者小林喜作

 やがて道が大きく下り、切通岩と呼ばれる鞍部を通過します。ここには表銀座縦走コースを開拓した小林喜作のレリーフがあります。明治8年、現在の安曇野市に生まれ、北アルプス一帯でカモシカやクマを狩る猟師だった小林喜作は、当時西洋から導入されたスポーツ登山に着目し、登山ルートの整備やガイドにも熱心で、それまで燕山荘から大天井岳、常念乗越を経て槍沢に一旦下り、槍ヶ岳に登り返すルートに代わる、切通岩から大天井岳山頂部の西側をトラバースして、西岳を経て東鎌尾根を登り返す現在の表銀座縦走コースを大正6年から3年で開拓したそうです。その翌年には殺生ヒュッテを開業し大きな財を成したそうですが、後に雪崩にあって命を落としたそうです。

Img_8480 大天井岳山頂にある大天荘

 切通岩からいよいよ大天井岳の山頂部に取り付きます。喜作新道を右に分けてガレ場の道をジグザグと登っていくと大天井岳山頂直下の大天荘に到着しました。時間は13時半。最初は歩程で3時間先のヒュッテ西岳まで行こうかとも考えていましたが、せっかくの機会だから山の上でゆったりとした時間を楽しみましょう。おや、雨も上がったようですよ♪(つづく)

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